日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

社長さんの会社は、
もう融資の限度を越えています!

  先日、社長さんは、融資を受けたいので資料の作成を支援してほしいと言われました。いろいろお話を伺っておりますと、社長さんの会社は、もう融資の限度を越えていますね。それなのに、社長さんの話では、融資を受ける理由も資金繰りのためなのか、設備増強のための投資なのかはっきりしません。返済見通しの裏付けもなく説得力がありません。
 書類を上手く作成すれば、金融機関は簡単に融資をすると勘違いされておられるようですが、もし、社長さんが友人から借金を申し込まれたら、どう対応しますか。「俺は金を貸すほど持っていない」と言わずに一度冷静に考えてみてください。友人は借金を何にどう使おうとしているのか、返済はどうするのか、根掘り葉掘りお聞きになると思います。そして、その返済計画が確かなものかどうか、その裏付けを確かめでるしょう。


魅力的な事業計画に基づいた
返済計画がない限り、融資は無理です!
  社長さんの金融機関への融資の申し込みについても同じことが言えます。返済計画の基本となる会社経営の財務実態、中核事業を中心に、各事業の今後の売上・収益計画を具体的に説明する必要があります。書類の作成は大切ですが、問題は融資を受けるにあたり、社長さんの会社経営に対する考え方や事業計画の中身とその裏付けとなる資料が必要です。
 立派な事業計画を作文することは難しくありません。右肩上がりの立派な事業計画はいくらでも作れます。しかし、貸し手側からすれば、事業計画の中に社長さんの事業に対する夢や考え方がしっかり具体的に表現され、返済見込みが見えるようにすることが必要です。

  先日、ある会社の社長さんから、資金繰りに困ったので新しい顧問の税理士に作らせたと立派な事業計画をら見せられました。「あなたには、このような事業計画はつくれないだろう」と言わんばかりの自慢げな顔つきでした。私は、会社の実態とは全く懸け離れた事業計画にただ驚くばかりでした。
 実際には、これまで付き合っていたとは別の金融機関に、この事業計画書を持ち込み、うまく融資が受けられたとのことのようです。従来の金融機関は、社長さんの会社経営の実態を知っているだけに融資の話には乗らなかったのでしょう。そこで、金融機関を変えて融資の申し込みをして、上手くいったのですね。金融機関は、信用保証協会の保証があったので、融資をOKしたのでしょうか。
 

 社長さん、借りたお金は返さなければなりません。社長さんの会社は、今の負債でも大き過ぎるくらいです。にっちもさっちもいかなくなっているんじゃないですか。よほど確かで魅力的な事業計画に裏付けされた返済計画がない限り、これ以上の融資は、絶対に無理です。早くこのことに気が付いてください。(2009.10.2)  


「日本版6シグマ」からの提案
会社の再建か、閉鎖か、売却か?!

 大中小を問わず、企業が融資限度を超えた大きな負債を抱えている場合、「6シグマ経営」がとるべき戦略は、再建か、閉鎖か、売却かのどれかである。もし、この中小企業が、社長の決断で「自力再建」という戦略をとった場合、その取組みの道筋はどういうものであろうか。
 先ず。社長が先頭に立って「我社の収益構造の抜本的見直しを行う」という「6シグマプロジェクト」の立ち上げを宣言する。社長の最たる問題意識が「中核事業の売上と収益の停滞、悪化傾向をなんとか食い止めたい」であるとした場合、以下に、その問題意識を原点とした「W型問題解決フロー」に沿ったプロジェクト展開のガイドラインを概説することとしたい。

 第一ステップは、経営トップの社長自身の問題意識の明確化と社内に対する問題提起である。社長の問題意識はどこからきているのか、その実態はどの程度切実なものなのかを社長自らが社員に語らなければならない。そして、いよいよ「6シグマプロジェクト」のスタートである。
 
 第二ステップは、中核事業の売上と収益の停滞、悪化傾向の現状把握である。ここでは、次のような多様な顧客情報を収集する。
・満足している既存顧客
・不満を持っている顧客
・失った顧客
・競合他社の顧客
・潜在顧客

 これらの顧客調査をもとに収集した情報をどう処理するか? ここでは「日本版6シグマ」における「KJ法的な情報処理」が不可欠であるとしている。様々な内容の調査情報をラベル化し、「グルーピング・表札づくり」を繰り返し、「A型図解」を作成する。ここから、当該中核事業に対する「VOC」の本質的なニーズの全体像を把握し、当面対応すべき二−ズを絞り込む。
 
 第三ステップは、絞り込んだ顧客ニーズに対応するために取組むべき基本的課題の設定である。ここでは顧客ニーズ別に、自由に様々な具体策をデータ化し、これをもとにKJ法的な情報処理によって「基本的課題」の全体を明確にし、さらに絞り込みを行う。これら絞り込んだ基本的課題が、「6シグマプロジェクト」を構成する「6シグマ課題」である。

 第四ステップは、上記の「6シグマ課題」別に「サブ6シグマプロジェクト」を設定し、具体的なアプローチ策を再吟味し、解決のための実行計画を作成する。ここでは各具体的なアプローチ策について、誰が担当し、いつまでにどう実行するかを明確にする。

 第五ステップは、「サブ6シグマプロジェクト」における実行計画の実行と進捗管理である。最後の第六ステップは、実際の取組みの成果の維持管理である。「6シグマプロジェクト」全体で、相互に情報交換を行い、結果を公表し、相互に失敗と成功から学び、改善活動を継続して行くことを確認し合うラウンドである。

 なお、ここでも「W型問題解決フロー」の詳細については、別途「日本版6シグ」のための問題解決技法として体系化した「BSTプログラム」を参照して戴きたい。


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