日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

会社自慢のハイテク製品
主要部品の調達がストップしらどうする?!

 アメリカの住宅市場を舞台としたサブプライム・ショック問題を契機に落ち込んだ景気も、ここにきて底を見せたような観があります。倒産する企業や廃業する企業も少なくなったという見方もあります。こうした中で、社長さんの会社自慢のハイテク製品の売上げダウンはなく、順調に推移してきています。本当によかったですね。
 先日社長さんは、「我社の製品の構成部品はどこからでも調達できるものではない」とおっしゃっていました。現在の順調な経営は、社長さんと部品調達先の会社との良い関係があった結果だということがよく分かりました。しかし、この度のサブプライム・ショック問題を契機に、中小企業におけるBCP(緊急時事業継続計画)の検討を行ってはいかがでしょうか。


主要な調達品は、
セカンドソースをもっておきましょう!
 先般、自然災害で、ある自動車メーカーが部品の調達ができなくなる事態が発生しました。原因は、主要部品が、ある企業1社からしか調達できなかったからです。自動車メーカーの早急な支援で予想より短期間で回復できたことは幸いでした。大きな地震や水害がたびたび起きては困りますが、その外にも調達先の事故やトラブブルで、経営状況が悪化し、一時的にせよ取引がストップする可能性があります。

 これからも、取引先の企業がどのような問題に遭遇するか予想が難しいものです。しかし、どんな競争状況の変化があるかを想定し、少なくても「これといった問題」についてはすぐ対応できる準備をしておきたいものです。
 そこで社長さん、先ずは、この辺で新しい部品調達先を検討してみることにしませんか。社長さんの会社のハイテク製品を構成する部品の中で、主要部品は調達先が限られているようです。もし、調達先で品質やコスト、納期等の面で大きなトラブルが発生すれば、経営にとって致命的な問題になりかねません。主要部品については、第二の調達ルートを準備しておきたいものです。

   確かに、複数の会社から調達するようにすれば、1回の発注量が少なくなり、コスト維持やダウンの要請が難しくなります。しかし、部品の調達ができなくなり、操業をストップするようなリスクは回避できます。社長さんの会社でも「BCP(緊急時企業存続計画、事業継続計画)」を検討しておきたいものです。主要部品を汎用品に置き換える設計の検討もすべきですが、先ずはセカンドソースの検討から始めましょう。2009.9.15  


「日本版6シグマ」からの提案
中核事業の維持に不可欠な主要部品
  第二調達先の開拓は最たる「6シグマ課題」!

 一般的に、単一製品の製造・販売を中核事業とする中小企業の経営にあって、製品を構成する主要部品の調達を外部一社に依存している場合、「BCP(事業継続計画)」を検討することの重大性、緊急性は分かりやすい。ここでは主要部品の調達先に、何か緊急事態が突然発生し、供給を受けられなくなれば、廃業に追い込まれることさえあり得るとして、第二の調達先を開拓することが「BCP」である。
 この中小企業にあって、「BCP」を作成し、実施するということは、経営トップの社長自身が、「当ハイテク製品の製造・販売こそが、我社の最中核事業である」という問題認識を明確にすることが出発点である。その上で、外部一社に依存している重大な調達部品について、調達先を再調査し、第二の調達先を開拓するという課題に取組む。これはまさに、「会社の最中核事業を安定的維持しなければならない」という経営課題に不可欠な、遅滞が許されない「6シグマ課題」そのものである。

 「6シグマ」には、「DMAIC」というロードアアップに沿った実践ツールがある。「日本版6シグマ」では、「DMAIC」に代わる「W型問題解決フロー」に沿った問題解決技法「BSTプログラム」が用意されている。ここでは、「BSTプログラム」の案内を兼ねて、「第二の調達先の開拓」という「6シグマ課題」について、そのアプローチ方法を概説しておくこととしたい。

 第一ステップは、既に述べたように、経営トップの社長自身が、「我社の最主要製品の製造・販売事業の維持・安定化のため、主要部品について、第二の調達先を開拓しなければならない」というて問題認識を明確にし、会社全体で共有化するラウンドである。
 第二ステップは、第二の調達先の開拓を決断し、実行するために、当該部品の調達先を調査し、候補会社を絞るラウンドである。
 第三ステップは、候補会社との情報交換をもとに、当該部品の品質、価格、数量、納期等に関する相互の基本的な要求課題を明確にし、共有化するラウンドである。
 第四ステップは、相互の基本的要求課題について、「具体的に、何をいつまでにどうする」を明確にした取組み計画を作成し、確認し合うラウンドである。
 第五ステップは、取引開始まで、それぞれ残されたアプローチ策を見直し、相互に実行計画の進捗管理を行うラウンドである。
 最後の第六ステップは、実際の取引き状況を踏まえ、相互に情報交換を行い、結果を公表し、相互に失敗と成功から学び、改善活動を継続して行くことを確認し合うラウンドである。
 なお、「W型問題解決フロー」の詳細については、別途「日本版6シグ」のための問題解決技法として体系化した「BSTプログラム」を参照して戴きたい。


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