日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

親会社からの突然の受注減で
社長さんは慌てていらっしゃいますが!

 社長さんの会社は創業以来30年、親企業から順調に注文があり、社長さん自信、先頭に立って黙々と仕事をしてこられました。しかし、この度急激な受注減で慌てていらっしゃるとのこと、ご心痛を察し申し上げます。
 ただ、「急に仕事がなくなった、何とかできないか」との相談ですが、今はどこも同じような状況です。技術革新や海外工場への発注切り替えで小さくなったパイを多くの中小企業が取り合っているのです。これから先、不透明な中で、社長さんの会社も、生き残りをかけた戦いを避けて通ることはできません。


中小企業としての生残りをかけて!
 中小企業を支援する制度として、自治体や銀行が提供する緊急融資制度やビジネスマッチングサービス等があります。しかし、即効果は期待できないものです。社長さんは、大小の様々なトラブルを想定し、日頃から、いざという時の対応を準備しておかなければなりません。

 先ずは、世間では自社の力がどの程度のものかを客観的に評価をしておくことです。親会社に文句を言われないことだけを考えているような経営では困ります。親会社の将来にどのような方向転換が考えられるか、そうした場合、「我社は今の実力でついて行けるか」という問題意識を持っていなければなりません。

 昨今では、日本の中小企業に期待される技術や市場動向に大きな変化が起きています。従来の技術力や管理力のレベルのままでは、長年付き合いのある親会社からさえも受け入れてもらえなくなる心配があります。自社の能力を冷静に評価し、今後親会社を含め国内外の市場が求める技術力、品質や納期やサービス等の管理力はどういうものかを勉強し、何時どのようして補完していくかを考え、実行して行くことが大切です。

 社長さん、情報収集はすべて部下任せ、インターネットも使えないでは、社長の仕事を十分果たしているとは言えない時代です。社長といえどもパソコンが使えないでは済まされない時代です。社長さんの会社は従業員が50人位の企業です。社長スタッフとしての社員を抱えているわけでもありません。社長さん自身が積極的に情報を集めて、1年先、3年先のことを考えて、会社としての実力アップのために何に取組むかをはっきりさせ、社員を引っ張っていかなけれればなりません。

 このためには、社長さんが社員の誰よりも情報をたくさん収集し、考えてなくてはなりません。インターネットでの情報収集だけでなく、異業種交流への参加もひとつの方法です。親会社と親しくして、コミュニケーションを良くするだけでは、情報を十分集めることができません。外部のいろいろな会合に出席し、相互に情報を交換し、助け合う関係を築くことも必要です。社長さんは、お客さんと酒を飲むだけと批判する人もいますが、経営に生きるつきあいができるかどうかは社長さんの心がけ次第です。


「日本版6シグマ」からの提案
今日の競争環境の中で
中小企業としていかに生残るか?!

 ロボット技術の発展や低コスト化のための海外工場への発注切り替えが進む中、ものづくりの強さを誇ってきた日本の中小企業は、あらたな生き残りを賭けた戦いを余儀なくされている。
 アメリカのシリコンバレーで、あるテクノロジー企業を経営する中小企業のオーナー社長が、「生き残りを賭けて一生懸命頑張ってきたが、業界も事業も先細りにだ。あきらめて新しい分野に出て行くべきでしょうか? それとも生存競争を続けていくべきでしょうか?」と、「6シグマ経営」のジャック・ウエルチに相談を寄せている。

 ジャック・ウエルチの回答は、日本の中小企業の同じような悩みを持つオーナー社長にも通じるものがあるのではないだろうか。ずばり、彼は「あなたはシコンバレーで会社経営をしているから、わかっているだろう。生存競争は最低だ。特にIT業界で低成長分野にいれば、値引き競争という地獄にあっという間に堕ち込んでしまう。海外メーカーとの低価格競争を強いられる。そんな戦いはやるもんじゃない」として、「あなたもあなたの社員もともに成長し、豊かになれる新しい分野を見つける方がよほどいい。さいわい、あなたの会社は、しばらくは生き残れるだけのビジネスがあるようだ。あなたが今すぐとりかかかるべきことは、今のビジネスでシャカリキになってキャッシュを生み出すようにすることだ。そうしつつ、経営資源を割り振って、他社から事業や技術を買収するか、まっさらなとところから始めるかして、新しい分野への参入をはかればよい」と回答している。
 ここで、あえて付け加えて置くとすれば、ジャック・ウエルチの言う「今すぐとりかかかるべきは、今のビジネスでシャカリキになってキャッシュを生み出すようにすることだ」とは、とりもなおさず、顧客の声をもとに、製品の品質の安定化、コストダウン、納期の順守に向けた問題解決に組織一丸となって取組む「6シグマ経営」の基本を厳しく実践するということである。このことが、新しい分野への参入を成功させる上でも不可欠だと考えるからである。


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