日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

独立して老人介護施設を経営!
退社を延期してでも財務実務の勉強を

 この度、老人介護の新しい会社を立ち上げる計画を検討されているのこと、ぜひ成功させて下さい。既に現在、同様の施設の運営に携わり、十分独立してやって行ける経験を積んできておられるわけですね。しかし、初心に帰って創業や起業に関するセミナーを受けることから始めたいという気構え、大変立派だと思います。
 しかし、独立して会社を興すにあたり、気になることがあります。それは、現在の施設運営を財務の面から見ておられなかったことです。
  


先ずは、
資金繰りの苦労の勉強を!
 何といっても、経営の基本はお金です。施設の運営について、お金の面から係わった経験がないことが気がかりです。必要な人経費や諸経費等の経費について、どのくらい見えていましたか。特に、資金繰りについては、ほとんど苦労した経験がなかったのではと思います。毎月、どのタイミングで、どの程度の資金が必要になるか、その具体的な対応策はどうするか、社長として、施設を経営して行く上で、間違いなく直面する問題が資金繰りです。
 

 現在の会社の社長さんには可愛がられ、円満退社しての独立ということですが、会社を退社する前に、特に経理のことを勉強しておきたいものです。どのような業界でも、経理上気をつけなければならない常識や慣習がいくつかあるものです。少し退社を延期してでも、老人介護施設経営の財務の実務を教えてもらうよう、社長さんに相談なさってはいかがでしょうか。
 また、これを機会に、今後ともお互いに情報を交換しあえる関係づくりをお願いしてほしいものです。優秀なスタッフを紹介しあうとか、新しいお客様を紹介し合える関係づくりを目ざすことです。これまで働き、世話になった今の会社との関係を財産にして戴きたいと思います。そして、その恩義に応えて、お互いに大きく発展できるようにしたいものです。ご成功を祈ります。


「日本版6シグマ」からの提案
PL、BSから「6シグマ課題」への取組みを!

 会社経営には「ヒト、モノ、カネ」の三要素がある。ここでは「カネ」の面から、会社を安定的に継続的に経営して行く上で、「BS:貸借対照表]「PL:損益計算書」をもとにした、財務面からの「6シグマ課題」について概説したい。

 財務業務の確かな運営については、専門家の力を必要とする場合も多いであろう。しかし、中小企業の経営者として、次の財務関連の数字に目を光らせ、それぞれの分野で改善すべき業務課題を「6シグマ課題」として設定し、その解決をリードできればと思う。
 先ずは、会社立ち上げ時点での「BS]で、会社が持っている資産およびその調達先を見る「負債、資本金」を確認する。次は、経営がスタートし、本業の損益がどう推移し、会社の財務状況がどうなっているかを見る。
 「PL」では、特に本業の売上、原価、費用、利益の推移を把握する。ここでは、売上・利益拡大のための品質向上、営業力アップ、コストダウン、費用の節約等の「6シグマ課題」への取り組みが検討されなければならないであろう。
 「BS」では、これまでの経営の結果として、現時点での会社の資産、負債状況を確認する。資産では、現金・預金の外に「受取手形・売掛金」、さらには原材料や製品、商品等の「棚卸資産」等のチェックが重要である。負債では、「支払手形・買掛金・短期借入金・未払金」等の流動負債のチェックが重要である。
 ここでは、先の品質向上、営業力アップ、在庫の縮小に加えて、現金払いと一体となった回収力強化という一連の財務体質改善による競争力の強化に取組みたいものである。


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