日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

海外からのお客様は
掲示板の財務情報に驚いていました!

  先日、海外からのお客様をご案内した際は、大変お世話になりありがとうございました。御社の廊下やロビー、社員食堂の壁には、経営理念や5Sスローガンのほかに、毎月の販売計画、販売実績の推移がわかる棒グラフが掲示されていました。海外それも旧ソ連邦等、計画経済を長く実施していた国の人たちにとっては、こうした財務情報のオープンには大変な驚きだったようです。


日本の企業では
財務情報のオープン化は常識か?
 今回のお客さんには、日本の製造業の5Sや改善活動への取組みを事前にPRしておきました。日本企業が戦後の混乱期から「Made in Japan」の高品質製品が作れるようになった歴史についても説明しました。しかし、先ず工場内に掲示された5Sの横断幕に驚いたようでした。大きな5Sの文字を見て、前後の漢字は理解できなくても、5Sに関するスローガンだとすぐ理解して、「5Sについてどんなことが書いてあるのですか」と質問してきました。そして、工場内のいろいろなほかの掲示にも興味を示し、掲示を見るたびに、次々と「これは、何が書いてあるのですか」と質問してきました。

  御社では、食堂に販売計画と毎月の販売実績棒グラフを掲示されていました。私から解説させて戴きましたが、これらにはさらに驚いたようです。
 彼らの国では、特に従業員に会社の経営状態を示す、毎月の販売計画や売上実績等をオープンにすることは決してありません。日本の会社では、社長が利益を含めた経営概況を朝会で報告するのが普通だ説明すると、信じられないという反応でした。社長さん、社内を見学させて戴きありがとうございました。


「日本版6シグマ」からの提案
どこまで財務情報をオープンにすべきか?
ジャック・ウエルチに質問してみよう!

 アメリカのニュージャージーで、社員5人の小さな零細企業を経営している社長さんが、ジャック・ウエルチの「6シグマ経営」を勉強し、「最近、私はみんなと財務情報を共有しようかと考えています。それを見たら、効率的に働かなくてはならず、無断欠勤をしてはならないことを分かってくれて、チームワークもよくなって、イノベーションを生み出してくれるのでは期待しています。どう思われますか」と質問している。
 ジャック・ウエルチは、「コストや売り上げ等競争要因に関する情報はできるだけ社員と共有した方がいい。会社がどういう事態に直面しているかを理解すれば、あなたの言う通り、自分達は同じ船に乗っているという思いで、会社の問題を自分のことと捉え、業務を改善し、生産性を向上させようと自ら立ち上ってくれるかもしれない」と答えている。
 だが、いずれ会社はどれくらいの利益を上げているかも開示すれば、社長がどれだけ分け前をとって、それに比べ自分達の分け前はどうかが必ず問題になるが、「その差をあなたは喜んで、あるいはプライドをもって説明できるならば、詳細な財務情報を社員の皆と共有することにリスクはない」と答えている。
 いずれにしても、ジャック・ウエルチは、「企業の規模にかかわらず、社員は同僚がその働きぶりや成果から、どれくらい給料をもらっているを計算するものだし、あなたの開示する財務情報が社員の考えている給料レベルに衝撃を与えそうだと考えるならば、その善行は、とりあえず見送った方がいい」として、「社員みんなが仕事に関心を持つ、もっと危険がすくない方法を考えるべきだ」と直言している。


back