日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

ラーメン店の社長さん
味で勝負できる
ラーメンづくりの品質管理を提案します!

  ラーメン中心の中華料理店では、やはりラーメンの味で勝負したいものです。ラーメン好きな人は、少しくらい遠い店でも、これはという店には足を運ぶものです。ある店では、昼食時にいつもお客様の長い列ができます。短い貴重なランチタイムに、彼らはなぜ長い列に並ぶのでしょうか。そうした店には、他の店とは違った何かがあるからではないでしょうか。

  社長さんは、ラーメンはスープの味が決め手だとよく言われますが、スープづくりを含めて、何がお客様を引き付けるのか、なぜ何度も食べに来てくれるのか、あらためて味で勝負できるラーメンづくりの品質管理の研究を提案したいものです。


先ずは、
ラーメンづくりのプロセス改善から!
 社長さんは、いつも私に「俺の店のラーメンは美味しいだろう」と自慢していますが、私の感想では、率直に言って他の店のラーメン以上とは思われません。社長さん、近隣の評判のいいラーメン店に、ぜひ客を装って足を運んみて下さい。そして隣に座ったお客とさりげなく会話をして、遠いところわざわざ食べにくる理由を探ってみて下さい。スープのみならず、何か社長さんの店との違いがあるはずはずです。

 お客さんは、社長さんの店のラーメンをまずいとは言っていないでしょう。ある程度のおいしさがなければ、食べに来てくれません。気に入らなければ、黙って去って行くだけです。ただ、社長さんの店のラーメンは、ごく一部のお客さんの好みに合うだけか、あるいはそこそこ美味しいだけなのかも知れません。お客さんが、社長さんの店の前に長い行列をつくってくれていないということが、何よりの証拠です。

   ラーメン屋さんも、店を維持し、繁盛させるには、常に研究が必要です。麺をゆでる時間管理も大切で、その日の気温や天候状態も考慮する必要があるそうですね。スープの味はもっとも肝心なものですが、材料として使う野菜の新鮮さに影響されるそうですね。素人なりのアドバイスですが、野菜の仕入れにあたっては、地元の農家と契約して新鮮なものを安定的に手に入るようにしなければならないと思います。
 店の中の床や棚やテーブルの清掃・清潔は大分改善されたように思います。これで環境は整いました。ラーメンはやはり味で勝負です。先ずは、社長さんの店のラーメンならではのお美味しさを実現するレシピありきです。その上でそのおいしさをコンスタントに実現するためのプロセス改善、すなわちラーメンづくりの品質管理にぜひ挑戦して下さい。
 ラーメンづくりでは素人ですが、品質管理のプロとして、味で勝負できるラーメン店経営の管理を支援します。


「日本版6シグマ」からの提案
行列のできるラーメン店にこそ
「6シグマレベル」の管理が求められる!

 ジャック・ウエルチは、「1995年にモトローラから6シグマのアイデアを得て、GEの経営に採用した。私は今やこのアイデアの大ファンだ。事業運営の効率改善、生産性の向上、コスト削減に関して、6シグマに優るものはない。設計工程を改善し、安定した品質の製品を市場に送り出し、顧客のロイヤリティを勝ち得ることができる」と語っている。
 さらに「6シグマは、企業の競争力を高める非常にパワフルなものだ。ピザ店を経営していようが、最新のジェット・エンジンを製造しようが、どんな企業でも、顧客を逃さないようにするには、彼らの期待に沿い、サービスや製品の品質に一貫性を保つことだ。それがまさに6シグマが役立つ点だ」と語っている。
 品質を「6シグマ」のレベルにするとは、製品やサービスのプロセスで100万回のオペレーションあたりに発生するミスを3.4回以下にするという意味である。ここでは「ピザ店を経営していようが、最新のジェット・エンジンを製造しようが同じ」というジャック・ウエルチの教えに便乗して、「行列のできるラーメンづくりにこそ6シグマを!」という視点から、「6シグマによるラーメン店経営」の「DMAIC」を概説しておきたいと思う。

 第一ステップは、ラーメン店経営にとって決定的に重要なポイント、即ち「CTQ:Critical to Quarity」の「定義」である。ラーメンのスープづくり、麺のゆで方、接客、5S等の改善工程を設定する。
 第二ステップは、改善工程別にどんな不良、不都合が発生しているかの「測定」である。第三ステップは、不良、不都合発生原因の「分析」である。
 第四ステップは、その原因の解決にあたり、スープづくりのための材料の厳選、調理方法、麺のゆで方から店の5Sまで、基本的な課題の設定、具体的なアプローチ方法の策定と実施による「改善」である。
 第五ステップは、「管理」である。プロセスの変更、調節後の一連の作業手順を標準化し、実際の作業をチェックする。作業のチェックによって、ラーメンの美味しさを中心に、接客、5S等の改善の成果にバラツキがないか、許容範囲に抑え込まれているかを管理する。


back