日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

中小企業の強みで、人材の戦力化を!

 最近、中小企業の人材採用が難しくなっています。大企業が、新卒者を早々と内定してしまい、中小企業が募集するころには、人材がいなくなっているようです。バブル期の状態に近いという経営者もいます。しかし、中小企業でもうまく人材を確保し、戦力化できている企業もないわけではありません。
 この違いは何所にあるのでしょうか。一部の中小企業経営者は、「中小企業だから、大企業ほど高い給料は出せない」から、「優秀な人材を取れないのは仕方がない」と思っています。また、最初から「中小企業にはよい人材は来てくれるはずがない」と諦めてしまっています。確かに、給与の面だけを比較すると、ある程度の差が出るのはやむを得ないかもしれません。しかし、その前に考えなければならない問題はないでしょうか。


中小企業だから
人材確保が難しいと諦めていないか?
 学生さんや仕事を求めているフリーターといわれている方々には、いろいろな考え方のもっている人がいます。大企業の中で歯車の一部となて、管理されて働くことを好まない人はたくさんいます。ただ、社長さんには、そのような考え方の学生さんやフリーターの人たちと会う機会や話し合う機会がなかったのかもしれません。「中小企業だから良い人材がきてくれない」と思っているならば、それは間違いです。今、社長さんの会社で働いてもらっている方々にも大変失礼な話です。

 あらためて、中小企業の社長さんにお伺いしたい。あなたの会社の社員は夢と希望を持って働いていますか。この会社を将来大きくして、もっとやりがいのある仕事をして、社会に貢献できる会社にしようと夢に描いて働いている社員が何人いますか。あなたの会社の社員に、友人を会社に引っ張ってきたいと思っている人が何人いますか。
 
 逆に、社長さん、あなたは本当に社員のことを真剣に考えていますか。社員は機械や道具の代用品くらいに思っていませんか。高い給料は出せない。我慢して働いてくれる間だけ、働いてもらえれば良い。社員が辞めたら、ハローワークに求人要項を出して、応募して来てくれる人を待つ。このパターンを繰り返すだけで、社員に気持ちよく、元気に働いてもらう気持ちも知恵もないということではないですか。
 それどころか、せっかく仕事を覚えた社員を他社に引き抜かれてあわてる経営者もおられます。これでは仕事を覚えるまで投資をした社員を他社にくれてやるようなものです。このような会社の社長に限って、愚痴を言い、嘆くだけのようです。これでは働かされた上、愚痴を聞かされる、残っている社員もたまったものではありません。

 
中小企業だからこそ
明日に希望の持てる会社でありたい
 大企業に比べて、給料は高くはないけれども、中小企業だからこそ、幅広く仕事をまかせ、やりがいをもってがんばってもらうことができます。
 「今はあまり儲かっていないが、目標や夢に向かってがんばろう」と社員を引っ張ることのできる社長さんであってほしい。決して、できない話ではありません。「明日に向かって、希望の持てる会社でありたい」と社員に真摯に語りかけ、社員の働きに真摯に期待をかける、それが中小企業の社長の真の姿ではないでしょうか。

 こうして、社員の能力が次第に向上し、会社の業積も段々上がってくる。この状態を継続させ、その喜びを社員と共有しあうことがこそが、中小企業の経営者としての義務であり、責任です。
 もちろん、これを実現することは容易ではない。常に創意と工夫と辛抱強さが必要です。これを続ければ従業員の中に、社長の考えや思いに共鳴し、一緒に働いてくれる人社員が必ず出てきます。
 そして、そうした社員がリーダーとなって、ほかのみんなを引っ張ってくれるようになります。はじめから材がいないとあきらめていては進歩がありません。小さくとも夢のある会社でありたいものです。(2006.7.5中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
社長の経営理念に共鳴し、
目標達成できる社員づくりに徹する!

「日本版6シグマ」は、経営トップが自らの経営理念に基き、経営方針、目標を明示し、現場がこれを実現するために、「日本版6シグマOS:BSTプログラム」を武器に、問題解決的アプローチを行います。中小企業規模であれば、経営トップ次第ですが、経営と現場の一体化体制がつくりやすく、小回りを利かせることで、ムダのないアプローチができるはずです。
 
 問題は、経営トップが経営目標を実現すためには、今現在一緒に働いてくれている社員の一人一人の力を結集しなければなりません。
 社長はビビったり、遠慮したりしないで、社員に「何のために、何をどう期待するか」をはっきり言明しなければなりません。中小企業だからこそ、できない人を排除したり、頭を押さえつけたりするのではなく、「君たちにしか頼れない」と、彼らが持つ力を存分に引き出すリーダーシップが問われます。

 ジャック・ウエルチにならって、「日本版6シグマ」は、大企業、中小企業を問わず、社員を次のようにモデ化しています。
タイプ1
社長の経営理念を共有化し、目標も達成している人
タイプ2
社長との経営理念の共有化も、目標の達成もできていない人
タイプ3
社長との経営理念の共有化はできているが、目標の達成ができていない人
タイプ4
社長との経営理念の共有化ができていないが、目標達成ができている人

  人材難に悩む中小企業でも、「タイプ2」は論外ですが、社員にやる気を起こさせるのではなく、強圧的に尻をたたかれて目標を達成している「タイプ4」を評価することはできません。オーソドックスに、社長のリーダーシップで、「タイプ1」の社員づくりに徹しなければなりません。 


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