日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

大事なことは「またその話か」と言われても
何度も繰り返し語りましょう!

 社長さんは、「従業員が私の考えをわかってくれていない、何回も話をしている、もうわかってくれてもいいはずなのに、何度も同じ話をするのは、気が引ける」とよくこぼしておられます。
 社長さんは、どうも従業員に遠慮をしておられるような気がします。従業員が社長さんの考え通りに動くようになるには、何度も何度も話をすることが必要です。あきらめないで、何度も繰り返し語ることで、初めて分かってもらえるようになることが少なくありません。勿論、社長さんの話は、日本語ですから言葉としては理解できます。しかし、その本質を理解して、納得して行動できるようになるには、相当時間がかかるものなのです。 


社長さん自身の
思いと根気強さがすべてです!
 特に経営理念や経営方針、スローガンは、社員が入社した時それぞれ説明しているし、事務室や工場内の一番見えるところに掲示もしてあると思ってはいけません。「あの時聴いたなー」「なんかあるなー」という程度の記憶しか残っていないのが普通です。
 毎日の朝会や部下との話し合いの場で、折にふれ繰り返し、繰り返し話をすることが必要です。新年の集まり、年度始め、創業記念日などはいい機会です。社員から「またその話か」と思われる位がいいのです。その度に別の例を引いて、同じ主旨の話をするのです。遠慮はいりません。

 経営理念や経営方針、スローガンが従業員に本当に理解されているかどうかは、社長さんのいないところで、従業員がお客さんに社長さんと同じような話をしているかどうかで判断できます。
 最初はぎこちなくとも、何度か繰り返すうちに、自然に社長さんと同じように話ができるようになります。そしていつの間にか、そうした話をお客さんに積極的にするようになってくるものなのです。この段階になっていれば、社長さんの心情を理解し、同じ気持ちになってくれていると思って間違いないでしょう。
 ここまで来るには、社長さん自身の思いと根気強さがすべてです。本当に重要なことは何度も何度も、「またその話か」と思われても語り続けましょう。社長さんは、決して遠慮してはいけません。


「日本版6シグマ」からの提案
社員の考えや行動を変えられるのは
シンプルで一貫したメッセージ以外にない!

 経営理念や経営方針、スローガンには、企業の大中小を問わず、経営のトップとして徹底して拘るべき一貫性がなければならない。それは、会社経営で一貫して貫くべき価値観でもある。そして、経営トップは、その実現に向けて、決してふらふらせず、しかし激しく議論し、熱く語り、フォローアップすることを続けなければならない。

 GE社の「6シグマ経営」にあって、ジャック・ウエルチは、小さい企業の顧客の好みやニーズを把握し、スピーディに行動し生き抜いてきた機敏さ、簡潔さ、敏捷性に学ぶとして、GE社の価値観を熱く語り、このような価値観を持てない人は成績がどんなに立派でも辞めてもらうとさえ言っている。
 GE社の小さい企業から学ぶ、特にリーダーに求める価値観とは一体どういうものか。日本の中小企業における社長さんの思いにも通じるという確信を持って、ここにその一端を紹介することとしたい
@品質管理を実践し、
 コストとスピードの改善に邁進する
A積極果敢な方針や目標を設定し
 分かりやすく語り、全員に理解を得る。
B優れたアイデアには
 誰のアイデアに関係なく熱意を示す。
C達成状況を公正公平に評価し、
 取組みの成果に責任を持って報いる。

 ここでもジャック・ウエルチは、これらの価値観がシンプルでかつ一貫したもので、社員に絶えず繰り返し語るならば、必ず伝わるものだと確信している。そして社員に対するメッセージでは、「分かりやすさ」「単純さ」「一貫性」「繰り返し」を貫けと語っているのである。


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