日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

大手商社へ入った息子さんの給料を
自慢ばかりしてないで

  今年の春、ご子息が大手商社に入社されたそうですね。大変嬉しそうに自慢していると従業員の方からお聞きしました。初任給も大変高く、夏にはボーナスを結構もらったということでした。社長さんにとっては、大変喜ばしいことかもしれません。ご自慢の息子さんなのでしょう。でもあまり自慢話をしないで下さい。

  社長さんの会社の従業員は、息子さんとは大きな年齢差があります。仕事の経験や能力の面でも息子さんとは大きな違いがあります。彼らは朝早く出勤し、残業も厭わず働いてくれています。それも油まみれになって、手足を真っ黒にしてです。皆さんは御社の発展に大きく貢献してくれました。しかし、現在の給料もボーナスも、商社の新入社員の息子さんとあまり大きな差はないようです。


息子の高い給料を引き合いに
本格的な業務改革を呼びかけよう!
 御社では、昨年末のボーナスもあまり支給できなかったそうですね。社長さんは、従業員の給料の話になると困った顔をします。確かに、現在の経営状態からすると高い給料とボーナスは出せません。しかし、自分の会社の従業員には安い給料で働いてもらいながら、大手商社に入った息子さんの高い給料を自慢するのは、世間的にはちょっとおかしな話だと思いませんか。
 息子さんは、5、6年もすれば、御社のベテラン従業員を超えるくらいの高い給料を取るようになるでしょう。この時、また同じような自慢話を聞かされては、従業員達もたまったものではありません。
 

 社長さんは、息子さんを御社の後継者として考えておられますか。「今、息子は他人の釜の飯を食って修行中」ということであれば話は違ってきます。修行して戻って会社を継承し、発展させ、「皆さんにもっと高い給料を払えるようにしたい」という話なら理解できます。
 しかし、「息子は息子で自分の道を行く」ということであれば、従業員がかわいそうですね。「息子さんの給料を自慢ばかりしてないで、俺たちの給料を、ボーナスをもっと何とかしてくれ」という気持ちになるはずです。
 

 この際、御社の経営状態をすべて従業員に公開されては如何ですか。そして、息子さんの給料を引き合いに、「今までの協力有難う。皆さんに、もっと高い給料を払える会社にしたい。どうしたら、もっと売上を伸ばし、収益を上げられるか、皆で知恵を出し合おう」と率直に、全社上げての業務改革を呼びかけてみませんか。きっと社内の雰囲気が変わると思います。(2008.1.5 中小企業診断士 加藤文男) 


「日本版6シグマ」からの提案
中小企業の強みを生かす上で、
どうしてもものにしてほしいBSTプログラム!

 ここで中小企業の社長さんが言っている「我社も、どうしたらもっと売り上げを伸ばし、収益を上げ、高い給料を払える会社にできるか?」は、「6シグマ経営」の課題そのものである。社長のリーダーシップと現場のヤル気を一体化し、顧客が要求する品質と量を納期通りに届けられるようにする業務改革に向けた全社的な問題解決活動が「6シグマ経営」である。
 「6シグマ経営」は、製品や業務の品質バラツキを「6シグマレベル」に維持する問題解決プログラムが武器である。このプログラムをもとに製品や工程のデザインをあらため、業務上の無理や無駄を減らし、品質を安定させ、顧客の満足度を高めることができれば、売り上げが上がり、コストが下がり、より高い収益につながる。同時に優れたリーダーの育成ができる。

 このプログラムには、二つの適用分野がある。一つは、日常の定型業務で、比較的単純な反復作業からバラツキを取り除く業務改善への適用である。二つは、大きくて複雑な課題解決が上手くようにするプロジェクトマネジメントへの適用である。
 「日本版6シグマ」では、職場での一般的なアナログな情報の収集と処理技術をベースにした「M5型累積問題解決技法」を簡易な「elhyud olution rogram)」として体系化してある。ここでは、経営トップの問題意識をもとに課題を絞り込み、情報を集め、基本的課題を設定する。その上で、その解決のためのさまざまな考えやアイデアを集め、具体的でシンプルなアプローチ方法をデザインする。
 このプログラムでは、日本人として求められる言語能力、即ち「何がどうなっている」「何のために、何をどうする」というように、一歩立ち止まって考え、日本語でわかりやすく語る力簡潔に書く力が基本である。その上で、これまでのTQC手法も有効である。しかし、特に大事なことは、経営トップと現場が一体になったヤル気とそのやる気に裏付けされた進捗管理である。
 「BSプログラム」は、中小企業こそ、社長のリーダーシップで実践的に学んでものにしてほしい。中小企業の持つ機敏さ、簡潔さ、シンプルさ、敏捷性を真に活かす上で、是非拘って実践して欲しいプログラムである。


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