日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

社長さんは社員の喜びそうなことを
軽々しく口にし過ぎるキライガあります! 

 「わかった、やってみよう」とか「君のアイデアを採用しよう」とか「君に任せる」とか、社長さんはよくやる気のある社員が喜ぶような話をされます。社長さんにとっては小さなことなので、「そんな約束をしたかな?」と思われることはあると思います。
 しかし、相手の立場からすれば約束に近いことを話しているのです。状況により、受け止め方は違うかもしれませんが、都合よく拡大解釈されることもあり、社員からすれば「約束してもらった」と期待が大きくなるものです。その分、社長さんの「そんな約束をしたかな?」という無反応ぶり、無神経さは社員を落胆させ、さらに不信感をつのらせてしまいます。こうした社長さんに、社員を燃え立たせることはもはや期待できないでしょう。


社長さんの約束は大変重いものです。
社員を裏切らないで下さい

   先日、社長さんは「今年は、少ないけれどもボーナスを出したい」と話されました。軽い気持ちでおっしゃったのかもしれませんが、社員は帰宅すると、家族にその話をするでしょう。家族にも期待が膨らみます。しかし、結果はボーナスがありませんでした。社員とその家族は大変がっかりしました。社長さんからすれば、「利益が思ったより出なかった」とか「資金繰りが上手くいかなかった」というような理由があるのでしょうか、従業員からすれば大変な裏切り行為なのです。

  社長さん自身、ここしばらく給料をもらっていないということは従業員も承知しています。会社の経営状態が厳しいことも理解しています。しかし、社長さんと社員では、立場が違います。社員からすれば、社長さんの言葉がすべてです。利益が出なかったことは言い訳になりません。その上、今回はボーナスを払えない理由について、説明も何もありませんでした。

  社長さんとしては、何気なくリップサービスで言ったつもりかもしれません。お酒の席であれば、聞く方もある程度割り引いて聞いてくれますが、日常の打ち合わせや会議での話題は信用するものです。小さな一言でも、社員の関心事であれば、良く覚えているものです。そして、大きな期待を抱くものです。小さな約束でも言った以上は実行することです。実行できないことは、約束しないことです。

 忙しく飛び回っている社長さんは、取引先との会話では神経を使っても、社内での毎日の会話には、そう神経を使えないということかもしれませんね。しかし、社員の中には、「社長はいいかっこしで、期待を持たせることを安易に口にしてしまう人で信用できない」と割り切ってしまっている人もいます。人材の確保が難しくなっている時期でもあります。若い人にとって、社長の思いつき発言は退職の原因にもなりかねません。社長さんの言葉は大変重いものであるはです。約束したことは必ず実行したいものです。実行が難しいことは、軽がしく発言しないことです。(2007.12.29 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
社員にいい話をしては
期待を裏切っているトップの弊害!

 経営が上手くいっていないから苦し紛れなのか、単にその場凌ぎなのか、いずれにせよ社員に期待を持たせるようなことを安易に口にして、社員から信用を失ってしまっている中小企業の社長は、ジャック・ウエルチの「GE版6シグマ経営」における、次の「12の特性」からなるリー像の視点から言えば、どんなリーダーシップ力が欠如しているのであろうか。

12のリーダーシップ特性
@誠実で信頼できる人間である。
Aビジネスで社員を導く洞察力、ガッツがある。
Bビジネスをグローバルに考えている。
C顧客中心である。
D絶え間なく変革に取組む。
E相手の話を聴く力がある。
Fいいチームワークづくりができる。
G組織の目標実現に集中している。
Hビジョンを明確にし、
 やる気を起こすことができる。
I人に伝わる情熱を持っている。
J利益目標を実現している。
K仕事を愛している。

 ジャック・ウエルチの世界では、@の社員や顧客と誠実さと信頼を築く能力が必須であるとされている。その他AからKまでの能力は、誠実さと信頼を築く能力という必須の基準がクリアされた上ではじめて問題になるような特性と言えるのではないだろうか。 


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