日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

5Sは時おり
徹底し直すことが必要です!

   先日久しぶりに、社長さんの工場を見させていただきました。その際、「もう少し5Sを徹底させたらいかがでしょうか」と率直にコメントしました。工場長は大変驚いた顔をしておられました。それも大変不機嫌な様子でした。工場長としては、5Sはあたり前のことで十分実施していると自信がおありだったのでしょう。それを突然「もっと5Sの徹底を」と言われたので、大変ショックだったのだと思います。  


5Sは気の緩みから、
少しずつレベルが落ちてきます!
 正直言って、御社の工場はきれいとは言えません。毎月いくつか工場を見させていただいていると、一端工場に入ればどのレベルにあるかおおよそわかります。5Sの状態で品質レベルも大体わかります。5Sから見る限り、社長さんの会社の製品の品質が以前より良くなっているとは思えない状況でした。一度品質やクレームデータを確認されたほうが良いでしょう。
 

 5Sは、最初に導入した時は皆さん一生懸命取り組みますので徹底されます。しかし、時間の経過と共に従業員の皆さんの意気込みも薄れて乱れてきます。何事も急に大きく変化すればすぐ気がつきますが、毎日少しずつ変化していると気がつかないものです。
 職場の5Sは急に大きく乱れることはありません。整理、整頓、清掃、清潔の状態は、従業員の皆さんの気の緩みから、少しずつレベルが落ちてきます。毎日の変化が小さいので、会社の中にいる人は気がつかないのです。定期的に気持ちを入れ替えて5Sのチェックをしたいものです。
 社長さんが中心となって、気合いを入れるのも一つの方法です。新鮮な目で見ることのできる新しく入社された人の意見を聴くのも良い方法です。作業方法の改善も新人の方が指摘しやすいものです。また、他の会社を訪問する機会がある人にチェックメンバーに入ってもらうこともよいと思います。

  そう言えば、工場の中に「5S」に関するポスターや標語の掲示が見当たりませんでした。あらためて、目につきやすい場所に大きく掲示し直すことにしましょう。できれば毎月一回、デザインを変えてマンネリ化しない様に配慮しましょう。これだけでも効果があるものです。(2007.11.11 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
5Sの徹底で
前向きな問題解決の姿勢強化を!

 「日本版6シグマ」では、問題解決のために「情報の整理・整頓」を重視しています。「6シグマ課題」について、W型問題解決フローに沿って情報の収集・整理・統合を行いますが、それぞれの情報を簡潔にステートメント化し、ラベル化し、さらに、「A型図解」にして目に「見える化」します。
 既に、先に述べていることであるが、こうした情報の整理・整頓に加えて、「日本版6シグマ」が「5S」、特に職場の「整理・整頓・清掃・清潔」を重視している理由がほかにあります。
 「5S」の最後の「躾」は、従業員が仕事や仲間やお客に向き合う際に求められる「姿勢、態度」のようなものです。ここでは、日頃の「整理・整頓・清掃」という具体的な行動の積み重ねを通して、先ず、自分達の仕事場の環境を「清潔」に維持することが大事だと考えています。つまり、5Sは職場環境の「整理・整頓・清掃」という「美化の見える化」によって、そうした環境にふさわしいマナー、習慣、さらには前向きな問題解決の姿勢ともいうべき「躾」の部分が、職場全体に自ずと定着するようになると考えるからです。


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