日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

開発製品を発表しましたが
これからが正念場!

  社長さんは、この度はいい製品を開発されました。省エネの時代にふさわしいすばらしいものだと思います。噂を聞いた色々な企業から、引き合いや問い合わせがたくさんあるそうですね。大変喜ばしいことです。しかし、これからが正念場です。
  作成した案内資料は大変きれいです。そのプレゼンテーションで、お客さんには「なるほど」と喜んでもらえるでしょう。しかし、製品の品質性能にはバラツキがあり、トラブルがつき物です。販売してトラブルが続出すれば、社員は対応に追われます。現在の社員数では、一度トラブルが発生すると製造をストップしなくてはなりません。
 先ず、やるべきことは、きっちりした最終製品を完成させることです。そのためには、何通りか試作品をつくって顧客のニーズに合致した安定した品質性能レベルを実現することです。そして、最初の製造は、現在の工場で対応できる範囲でスタートしましょう
 


お客さんと一体となった
完成度アップを!

 社長さんは、お客さんから声がかると全国どこへでも足を運んでいるそうですね。お客さんに自慢の製品を説明するのは、大変やりがいがあり、楽しいと思います。しかし、本当に魅力ある技術であれば、お客さんの方から見にきてくれます。評判がいいといっても、製品としてはまだ未完成です。
 先ずは試作品の完成度を上げることです。その上で、お客さんからの引き合いについて、どんな使い方をするのか、どんな性能を重視するのか、改良点は、買ってくれる数量と価格見通し等を把握しましょう。つまり、市場調査です。
 市場調査にあたっては、試作品の完成度を上げて、お客さんに見に来てもらうことをめざしましょう。確かに最初のPRは大事ですが、お客さんに見に来てもらえれば、1日に3〜4件は対応できます。工場全体を見てもらうこともできます。この効率の良さは、こちらから訪問するのとでは比較になりません。
 ただ、お客さんの方から足を運んでもらうのですから、丁寧に対応しなければなりません。傲慢な態度は絶対いけません。今後、製品の完成度上げるためには、お客さんからの様々な意見や指摘を引き出し、率直に検討してみることが不可欠です。お客さんと一体となった取組みを期待します。(2007.11.02
 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
開発製品の完成度アップへ
 日本
版6シグマアプローチ!
DMAIOC

 開発製品を量産し、販売するにあたっては、特に求められる品質性能の向上と安定化に万全を期するアプローチ体制が必要である。「日本版6シグマ」によるアプローチは、経営トップのリーダーシップのもと、「W型問題解決フロー」に沿った一連の問題解決活動を通して、100万回のオペレーションでミスが3.4回という、即ち「6シグマレベル」の精度をめざすものである。
 「W型問題解決フロー」は、「日本版6シグマ」のためのソリューションテクノロジーの基本フローである。「問題の提起→現状把握→基本課題の設定→解決策の作成→実行と進捗管理」という「五つのプロセス」で構成され、次の「GE版6シグマ」における「DMAIC」という品質向上への問題解決プロセスに該当するものである。

「D=問題の定義:Definition」
「M=測定:Measurement」
「A=分析:Analysisi」
「I=改善:Improvement」
「C=管理:Controle」

 先ず「6シグマプロジェト」を立上げ、品質にとって決定的に重要なポイント「CTQ:Critical to Quarity」とは何かを「定義」する。解決すべき品質性能課題について、経営トップと現場が問題意識を共有化する「問題提起ラウンド」である。
 「測定」は、CTQに影響する組織内のキーとなる工程を特定し、発生する不良を測定する。「分析」は、不良の発生原因を追究する。この二つは、不良の実態を把握し、その原因を想定する、いわゆる「現状把握ラウンド」にあたる。
 「改善」は、その原因の解決にあたり、基本的な課題を設定し、具体的なアプローチ方法を策定する。さらに、その方策の実施、評価を通して、品質性能のバラツキが許容範囲におさまるようプロセスを変更、調整する。このプロセスは、「基本課題の設定→解決策の作成→実行」という3つのラウンドを包含するものである。
 最後の「管理」は、当プロセスの変更、調節後の一連の作業手順を再標準化し、実際の作業をチェックする。作業のチェックによって、品質性能のバラツキが許容範囲に抑え込まれていることを確認するラウンドである。「GE版6シグマ」では、同じ問題が再発することを防止するために、定期的な監査が必要であるとして、特に重要視しているラウンドである。


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