日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

ラーメン店の社長さんへ
お店の再開を決断して下さい!

  折角、従兄弟さんという後継者が見つかり、お店を譲ったのに、突然辞めてしまったとのこと大変ショックと思います。3ヶ月間お客さんが減少し続けたことには、何か大きな原因がありそうです。周辺に同じようなお店ができたのかもしれません。しかし、それはどこででもあり得ることです。従兄弟さんは美味しい料理はつくれても、お客様に対する何かが欠けていたのではないかと思います。
 この世界での経験が十分な社長さんには、対応が難しくはないでしょう。商売の環境や条件の変化に打ち勝つ知恵と工夫を思い起こして下さい。社長さんも50歳代とまだ若いです。閉店したラーメン店を、もう一度再開する決断をして下さい。


元気で清潔な店づくりで再スタートを!
 他の店では、賃借りして、従業員を雇って営業しています。それに比べれば、社長さんの場合は、自分の店ですから、借家・借地料は不要で経費の面で有利です。それに社長さんには実績があります。経営面で他の店ろ比べものにならないくらい好条件が揃っています。すべて社長さんの意思で自由にできるのです。

 今利益が出ないからといって、従来のサービスレベルを少しでも落としたりすると、お客さんは敏感に感じ取ります。一度離れたお客さんを取り戻すには、従来と異なった良い評判づくりが必要です。新しく店を開くような新鮮な気持ちが大切です。 
 お客さんに、「いらっしゃいませ」「毎度ありー」と店全体に響くくらいの元気な声で挨拶していますか。これだけでも店の雰囲気が魅力的になります。元気な店では料理もおいしく感じられるものです。お客さんに元気を分けて上げるくらいの気持ちを持ちましょう。

 それから、ラーメン店は清潔さが絶対に必要です。調理場だけではありません。店全体に清潔感が溢れていないとお客さんは敬遠します。「味さえよければ」という考えは変えましょう。調理場も客席も同じです。特に女性は、清潔さがないと離れていきます。洋服が汚れる心配があるような店には決して来てくれません。テーブルもいすも忙しくて手がないからと汚れたままにしないで清潔にしましょう。忙しい中で店をきれいにする姿勢を見てもらうことも大切です。社長さん、従業員の服装も身ぎれいにしましょう。真っ白な帽子の着用もよいアイディアです。

 女性のお客さんが増えれば、自然に男性客も増えてきます。元気で清潔な店であることが最低の条件です。この世界で経験豊かな社長さんに、このような基本的なアドバイスは不要かもしれませんね。さあ、新しい気持ちでスタートしましょう。(2007.10.6 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
ラーメン店の再開にあたって、
自前の店経営の基本を明確にしよう!

 評判のラーメン店を経営する社長が後継者に店を任せたが上手くいかず店じまいをすることになった。社長に後継者を見る目がなかった、後継者を育てられなかった。そのために、少し大げさな言い方であるが、ラーメン店の経営の敗者になってしまったのである。
 社長がラーメン店の経営に再挑戦するにあたっての課題を考えるにあたり、ビジネスの世界における経営の勝者と敗者について、ジャック・ウエルチの「シックスシグマ語録」に、次のような趣旨のアドバイスがある。
 「あなた方は、経営の勝利を経済的な意味でしか考えていないにちがいない。そうであってはならない。私は勝利を違うかたちで考える。社長なら会社の目標を設定し、それを達成すること、そして同じくらい重要なことだが、そのプロセスを楽しむこと、それが勝利だと思う。よく聞いてほしい、勝つこともまけることも、数字では語れないのだ。それは心の持ちようだ。自分があきらめた時にはじめて、あなたは負けるのだ。」
 店の再開にあたって、美味しさの追及、元気な挨拶、清潔を経営の基本とし、これにこだわって店を経営した時、お客の反応はどうか、売上はとうか、利益はどうか、その結果を率直に受け止め、一喜一憂しながらさらに精進に勤める。ジャック・ウエルチは、業種を問わず、中小零細から大企業まで、こうした毎日を送れることを喜びとすることこそ、「経営の勝者」への道だと言っているのではないだろうか。


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