日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

お客に楽しい気持になってもらう!
ホテルのおもてなしの原点を忘れていませんか?

 社長さんのホテルがテレビで紹介されたとお聞きしました。長い間、丹精を込めたご自慢の庭が全国ネットで放映されたのですから、今後の来客増加が期待されますね。テレビ放映の後、小生も宿泊させて戴きました。その際の従業員のふるまいから、ホテルの「おもてなし」について気がついたことがありましたので一報させて戴きます。


おもてなしのあり方を
従業員と一緒に考え直してみませんか!
 今回は、研究会メンバー5名の旅行でした。夕食が準備ができたとのことで、部屋に案内されました。5人分のお膳が3名と2名の向かい合わせで並んでいました。真向かいのお膳とお膳の間が、お酒をさしたりさされたりするに離れ過ぎているということで、両側のお膳の間隔を狭くしてほしいと要望しました。ところが、狭くすると客の後ろから料理を出すことになって、出し難くなるのでダメという厳しい返事でした。

 今回我々は下戸ばかりで、お酒を多く飲む方ではなかったので、それ以上無理を言うことはしませんでした。お酒好きの集まりだったら、無理を言ってでもお膳の間隔を変えてもらったかもしれません。向かい同士の客席を近づけないと、お互いにお酒を勧めあうことも少なくなり、早々と食事を切り上げることになりかねません。あの時の従業員の態度からは、お客にお酒で盛り上がり、楽しく食事をしてもらうという思いが伝わってきませんでした。
 もう一つ、売店の従業員もお客無視でした。お土産を買うつもりでレジのところへもっていっても、店員はすぐには包装してくれませんでした。私だけでなく、ほかのお客からも「早くして」と言われていましたが無視でした。笑顔もありませんでした。自分のペースで仕事をしているという感じで、お客様扱いをしてもらっているという気分にはなれませんでした。 

 いずれも社長さんの本意ではないと思いますが、これでは、いくら庭が立派でも、お客が社長さんのホテルを推薦し、紹介することは決してしませんね。全国ネットでテレビ放映されたことで、社長さんや従業員に慢心は無いでしょうか。お客に喜んでもらうという「おもてなし」の原点を忘れていませんか?「ホテル業の本当のサービス、即ち“おもてなし”とは何か」、従業員教育を徹底されることを提案します。(2007.9.29 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
ホテル業の“おもてなし”
教育研修で、その本質の追及と共有化を!

 ホテルの「おもてなし」は、利用して戴いたお客に感謝の気持ちを伝えることである。例え、仲居さんがお客の食事の席の変更にすぐ対応してくれたとしても、売店の店員が笑顔で「有難うございました」とすぐ包装し、レジをしてくれたとしても、心や気持ちがこもっていなければ、お客の心には伝わらない。
 ここで大事なことは、「従業員教育の徹底を!」という提案を、「ホテル業の本当のサービス、即ち“おもてなし”とは何か?」を社長自ら全従業員と一緒に主体的に考え直すチャンスだと受け止めることである。 
 もちろん、「おもてなし」の社員教育では、例えば、お客の迎え方、案内の仕方、食事の出し方、お茶の出し方等マナーの訓練は大事である。しかし、こうしたマナーは、お客に喜んで戴こうと一生懸命“おもてなし”をしようとする姿勢、気持ちがあれば、時間と共に洗練されていくものである。


アナログ情報の創造的処理技術をベースにした
組織的問題解決プログラムを武器として!

 「日本版6シグマ」による経営とは、経営トップのリーダーシップと現場のボトムアップ力を一体化した問題解決型経営である。「日本版6シグマ」では、こうした従業員教育に効果的なKJ法的なアナログ情報の収集と段階的な処理技術をベースにした「組織的問題解決プログラム」が用意されている。その基本的なフローは、次の通りである。
 先ずは、社長自身の問題意識の明確化である。何故、お客様に喜んで頂こうとするのか、会社がホテル業の営む使命、経営理念は何か、どういう風にお客様に接すべきか、その目的は何かを明確にし、全従業員で共有化する。その上で、「会社として、何のために、おもてなしの向上にいかに取組むか」という基本的な「6シグマ課題」を従業員に提起する、これが出発点である。.

 次のラウンドでは、「6シグマ課題」について、従業員が持っている具体的な行動上の課題を広く集め、それぞれ簡潔に文章化し、ラベルに転記し、データ化する。これらのラベルを一枚一枚をじっくり読んで、次は、個々のデータが何を言わんとしているのかを探り、似たようなラベルをグループ化する。
 その上で、各グループごとに、個々のデータが本質的に共通して言わんとしている内容を探り、これを簡潔でわかりやすい文章にし、一枚のラベルに記述する。
 このグルーピングと表札づくりを順次繰り返すことで、従業員からの具体的なアイデアを最終的に6枚か7枚の表札にまとめることができる。この表札づくりのプロセスを通して、「会社として、何のために、おもてなしの向上にいかに取組むか」について、よりシャープな課題を共有化することが可能になるのである。
 
最後は、最終的な6枚か7枚の表札をもとに、「6シグマ課題」に対する整然としたアプローチ方法の全体を一つの構造にダイナミックに設計するラウンドである。
 先ず、これらの表札をバラバラに並べ、お互いの表札の関係、主に、因果関係、相互関係、共通関係、対立関係等を明確にし、一枚の図解に仕上げる。
 このインデックス図解をもとに、「6シグマ課題」に対尾するアプローチ方法をデザインし、その上で各表札の中にある個々の解決策、即ち具体策を見直し、実行計画への仕上げを行う。


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