日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

安い給料で働いてもらっている
従業員の好意に甘えてはいけません!

   社長さんの会社の従業員は、すべて社長さんの親戚や知人または、その関係者がほとんどです。そのためか社長さんは、彼ら従業員の好意に甘え過ぎています。パートタイマーの時給は、周辺のもっとも低い金額に合わせています。従業員の給料も年金をもらっているという理由で低い金額に設定しています。
 社長さんは、「うちはこれでいい」として、「少しでもいい給料を払えるようにしたい」という努力はしていないようです。従業員の声の端々に「給料は安いが、その分気楽にやっています」と諦めの声が窺います。従業員にも厳しさが不足しているように思われます。 


安い給料が
経営を甘くしている!
 先日、パートタイマーが退職しました。理由は子供の学校行事の都合とのことでした。社長さんは引き止めていましたが、結局は退職しました。その後、買い物をする彼女に会い、立ち話をする機会がありました。退職した本音は安い時給にあったようです。同じ時間を費やすなら、少しくらい仕事が厳しくても高い給与が欲しかったとのことでした。ほかの従業員の手前、給料が低過ぎるとは言えなかったようです。
 従業員にとって、休暇をとりたい時とれる、働きたい時出社すればいいという会社勤めは、給料以上に魅力的なこともあります。確かに、社長さんの会社の従業員は始業時間よりも大分早く出社してきます。社長さんもこの様子に満足しているようですね。しかし、仕事に対する意欲からというよりは、朝早く目が覚める習慣上、安い給与でも、早い方が電車は空いていて通勤が楽だからという理由のようです。
 給料が安くても、家族的で和やかな雰囲気がいいと言う従業員もいます。しかし、仕事の段取りもマイペースで、作業が少し遅れてもミスがあっても注意されることもないとのこと。社長さんが無理を言うことはなく、納期遅れになることがしばしばということです。
 従業員には安い給料で働いてもらっている、そのことが社長さんの受注の姿勢にも影響しているようですね。安い受注金額です。本来もっと高い金額で受注してもよいところを安く受注していることです。安い受注金額は、発注者にとって都合がいいはずですが、出来栄えや納期が本当に大丈夫かという疑問を抱かせるます。社長さんはそれに気がついているでしょうか。「給料が安いのだから、この受注金額でも」という考え方は、従業員、取引先の双方から信用を失うことになりかねません。
 社長さん!従業員の安い給料で働いてもらっている好意に甘えてはいけません。事業本来の考え方を取り戻し、適正な経営に戻してください。(2007.9.14
 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
社長の経営理念と経営の仕組みに
従業員の共鳴感が一体となった経営!

 最近の「働き方改革」の流れの中で、「休暇をとりたい時とれる会社」「働きたい時出社すればいい会社」「家族的で和やかな雰囲気の会社」といった会社経営をめざす若手女性経営者の「1日100食限定、年間売上1億円」のレストランチェーン経営の話が紹介されている。
 ここでは最初から、利益を上げ、会社を大きくすることを目標とはしていない。従業員が無理なく、楽しく仕事ができ、家族と一緒の時間もとれる仕組みに裏付けされた会社経営が前提となっている。
 そのために、経営者はメニューづくりや料理の腕に覚えのある人材の確保、確かな食材の購入、働きやすい職場環境づくりに加えて、「1日100食限定」という原則のもと、「広告宣伝費のゼロ、材料の無駄のゼロ」によって利益を出すという経営方針の実現に拘っている。
 「日本版6シグマ」による経営とは、経営トップのリーダーシップと現場のボトムアップ力を一体化した問題解決型経営である。「1日100食限定、年間売上1億円」のレストラン経営は、社長の「従業員が無理なく、楽しく仕事ができ、家族と一緒の時間もとれる会社をめざす」という働き方を改革するという経営理念とそれを可能にする経営の仕組みとそれに共鳴する従業員の働きが一体となった経営ということができる。


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