日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

部長職手当を出すからには
部長らしい仕事をさせましょう!

  先日、御社の三人の営業部長と面談し、話を聞く機会 がありました。しかし、残念ながら三人とも社長さんの方針とベクトルがあっていない感じがしました。三人とも自分のことしか考えていないのではないかと思われます。これは社長さんの部長手当を出すことにした本来の意図に反しています。
 率直に言えば、三人の営業部長は自分の販売目標を達成し、自分の実力を示すことしか考えていません。締め切り直前に売り上げが足りない時は、売り易い利益率の低い製品を更に値引きをして売っているのです。部長の権限を利用して売り上げの達成をしているだけです。


三人の部長の販売目標は、
各営業部の売上げ目標にして下さい!

 確かに、3営業部とも売上目標が達成できていません。このことについて、3人の営業部長は部下の能力が低いからだ決め付け、言い訳してお終いです。営業部の目標を達成するために、部下の士気をどう高めるかを考えていません。部長は自分の販売目標を達成して満足しているだけです。これでは、課長以下のレベルの仕事しかしていないことになります。

  部長達は自身の売上げ未達が怖く、この辺のところに思いが及んでいないようです。組織を変更してすでに6ヶ月が経過したとお聞きしましたが、現在の状態では部長職手当てを出す目的にかなっていませんし、無駄使いです。このままだと、営業成績向上はとうてい望めません。
  部下指導の成果が出るまでには時間がかかります。部下が売り上げを上げ、部の目標が達成できるようになるまでには、1ヶ月か2ヶ月はかかるし、売上が下がることがあるかもしれません。しかし、部長の指導で部下の能力とやる気を向上させ、皆で何とか販売目標を達成できる営業部に持っていきたいものです。

 社長さん!三人の部長の販売目標は、各営業部全体の売上げ目標にして下さい。現在の部長の目標は、強制的に部下に割り振らせて下さい。そして、部長の仕事は部下の士気を高め、部全体の売上目標を達成することだと言明して下さい。そして、部長が部長職本来の仕事の仕方に徹し、部下の能力も向上し、部全体の成績が上がってくる様子を期待して見守って下さい。(2007.8.25 中小企業診断士加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
社員の志気を高めるには、認めて褒める!

 部長職手当を出しているのに、部下が成績を上げられるよう指導ができていない営業部長に対して、社長としてどうしたらいいか、ジャック・ウエルチの「6シグマ語録」には、どんなアドバイスがあるだろうか。
 ジャック・ウエルチは、「私の仕事で、今最大の課題は、社員の士気を高めることです。一番いい方法は何ですか」という質問に対して、「@お金、A仕事のおもしろさ、B一緒に働いて楽しい同僚」の3つがよく知られているが、この楽勝方法だけでやる気を起こすことができるなら、頭を悩ます必要はない。ほかに、お金がかからず、しかも非常に効率的なツールがある、それは認めて、褒めることだ」として、個人やチームが大きな取り引きを成約した、生産性や顧客満足を高めるいい方法を見つけた等、注目すべきことをしたら、会社全体に発表し、よくやったと大げさなくらい騒ごうと言っている。
 さらに、ジャック・ウエルチは、「社員一人一人の仕事の成果に注意を払い、その成果をみんなの前でありがとうと言って認めることは、社員を楽しい気持ちにさせ、会社と目的を共有しているという興奮、自分は会社に必要とされているという自覚をもたらし、さらに挑戦すべき課題を与えることにつながる」として、「認めて褒めることは、ほとんど無料で、それでいて、その見返りは計り知れない方法だ」と語っている。


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