日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

年度末と年度始めは
売り込みをかけ直すチャンス
 

   公共事業体や民間企業には、年度末と年度始めがあります。商売をする上で、この時期は担当者の移動や退職などがあります。担当者が変わった時には、従来の個人的つながりを止めて発注先が変更されることは良くある話です。年度末と年度始めは、売込みをかけ直す上で重要な時期になります。このタイミングの重大さをよく認識して、顧客を維持し、または拡大する売り込みをかけ直す営業に徹したいものです。特に、新しい顧客の開拓には、このタイミングをうまく捉えて交渉することが大切です。他の企業もこの時期を狙っています。


情報の提供の仕方が上手くなって
いい人間関係作りを!
 公共企業体の場合、新年度でいろいろな事業がスタートします。このタイミングを狙って、タイミングよく訪問し、情報の交換をすることです。このコツがつかめると効率の良い営業活動ができるようになります。このタイミングを逃してしまうと翌年度まで注文がとれなくなってしまいます。 
 民間企業にあっは、日頃担当者が取引先に不満を持っているような場合、特に新年度は新しく取引を売り込む大きなチャンスです。取引きには製品の価格や品質や納期が大切ですが、人間関係を軽視してはいけません。担当者が従来の取り引き関係に不満がある場合はチャンスです。人間には結構好き嫌いもあります。新しい担当者は、その業務に関する情報を十分持っていない場合も多く、その担当者の立場になって親切に対応することで、気に入れられ新しい取引先にしてくれる場合もあります。

 お客さんとの情報の交換は、何度も訪問することで進んでいきます。相手が忙しいと思い、一度にあれもこれもと情報のやり取りを望むのは得策といえません。忙しそうにしている時は、次の訪問する機会を約束してもらい、早めに退散しましょう。そして、訪問の数を増やして、情報を少しずつ提供するようにしましょう。
 営業では、情報は小出しにして、次はこのこと、次はこのこととというように、訪問する機会を多くした方がよいのです。情報の提供の仕方が上手くなれば、余裕ができて交渉も有利になります。訪問する時間も、相手の仕事が一段落した時刻がベストです。
 提供する情報がないと、単なる「御用聞き」になってしまいます。そのためには、こちらも相当情報収集に努力をしなければなりません。ただ、準備した資料や情報は、相手に十分生かしてもらえなければ意味がありません。情報の提供は、むしろ小出しにして、担当者がどのような情報に興味を示すかよく観察することが大事です。
 営業経験の豊富な社長さん! 何度も理由をつけて訪問し、関連するプロジェクトやイベントの進行状況等の話も聞ける親密な関係づくりを心がけるよう指導して挙げて下さい。社長さんの持っている貴重な営業ノウハウをぜひ担当者に伝授してほしいと思います。(2007.8.17中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
今年こそ、お客との
「親密な関係づくり」への転換を!

 1980年代までの世界のビジネスのポイントは、大量の商品を効率的に生産することにあり、商品の質と顧客サービスへの認識はお寒い限りであった。その後エドワード・デミングの品質管理が流行となり、TQM(総合的品質経営)へと行き着き、経営の再構築が進んだ。
 ジャック・ウエルチは、「GE版6シグマ」で、品質や顧客サービスの何たるかは理解され、実践されるようになったと考えて不思議はないが、優れたサービスの提供に欠かせない相互の人間関係、即ち「親密さ」の重要性が見落とされているとしている。
 そして、サービスとは顧客のやるべきことを代行することであり、そこでは顧客との生身の付き合い、意志疎通、即ち「親密な人間関係づくり」が欠かせないとして、中小企業でもできる、主に次の[5つの根本原則」に立ち返ることが必要であると説いている。
 第一は顧客を知ること。第二は顧客の要望をタライ回しにしないこと。第三は顧客へのインターネットサイトによる情報発信。第四は顧客に欲しい商品をデザインさせること。第五は顧客とは末永く付き合うこと。
 ジャック・ウエルチは、「顧客は売り手の上辺だけの親密さ等求めてはいない。顧客は価値あるサービスを、手頃な価格で、テキパキと、タイミングよく行ってくれることだけを求めているのだ。まことに簡単明瞭だ」として、顧客との生身の親密な関係づくりへの転換を一貫して追求したのである。


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