日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

お客さんのクレームには、
自信があっても率直に耳を傾けましょう!

 先日社長さんの会社を訪問した際、営業担当の社員が電話で一生懸命御社の製品について説明しておりました。お客様からのクレームに対する電話のようで、言葉づかいは丁寧でしたが、意見を聴くのではなく反論ばかりしているようでした。
 製造業においては、製品の品質に関するクレームが結構あるものです。品質に自信がある企業ほど、クレームを受けた場合「そんなことはあるはずがない、信じられない」というような意識が働きます。しかし、実際には、予想もつかない形で持ち込まれることがあるものです。お客様のクレームには、信じられないことでも、率直に耳を傾けましょう


カビの生えた
商品見本を売ってしまった! 
 これはお菓子屋さんの例ですが、店員にとって信じられないことが起こったのです。そのお店では毎日新しいお菓子を仕入れてほとんどその日で売り切ってしまいます。ですからお客様から「お菓子にカビが見つかった」と聞いた時には、店長をはじめ信じられませんでした。

 早速店長がお客様を訪問して調べてみると、確かに中にカビのあるのが見つかったのです。お買上げのレシートの日付も問題ありませんでした。そこで購入された時の様子をよく聞いてみました。購入されたのは夕方でした。ただ、欲しいお菓子の数が足りなかったので、別のところから取ったようでした。別のところとは、商品見本がおいてあるところでした。

 商品見本は、常にレジの近くのカウンターの上に置いています。店員は商品見本は販売しないものとして、毎日新しいものと入れ替えることはしていませんでした。お店にとっては信じられないことが起こりました。お客様は、たまたま数が足りなかったので、そばにあった商品見本から取って数を合わせたのです。お客様からすれば、店の中にあるものはすべて商品と見るのは当然です。お菓子を販売するお店にとっては、例え見本であっても賞味期限や消費期限が切れたものを店においてはいけないと言う貴重な教訓でした。

 製品の製造・販売にあたり、自信があるほどクレームについて「そんなことはあるはずがない」と懐疑的になるものです。しかし、社長さんの会社に、今まで思いもつかなかった何か問題があるかも知れません。どんなクレームにも素直な気持ちで耳を傾けたいものです。(2007.08.10 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
お客様のクレームから内部管理基準の充実を!

 顧客からクレームがあった場合、顧客とのトラベルを上手くおさめるだけでなく、再発防止のための施策を打たなくてはならない。
 「TQC」には、例えばクレームにつながる製品の外径について、加工設備別や作業者別にデータをとり、そのバラツキをヒストグラムで分類し、不適合品の原因究明や作業改善を行う「層別解析」という情報処理方法がある。 

 「日本版6シグマ」は、個別のこうしたクレーム対応をより確かなものにし、製品や商品の品質を向上させ、さらには経営力を強化する上で、「VOC」、特に「クレーム情報」の収集と処理法方法を重視している。
 例えば、工場で製造する製品の品質保証のためには、原材料の購入から製造設備の運転に到るまで、様ざまな視点から管理基準を詳細に設定し、その順守を徹底しなければならない。クレームの発生は、これら内部管理基準の設定や順守に問題があることを意味しているからである。

 中小企業の「日本版6シグマ」にあっては、経営トップノ社長のリーダーシップで、これまでの様々なクレームを個別に簡潔に文章化し、データ化し、その全体から製品や商品の品質を向上させ、さらには経営力を強化する上で取組むべき「6シグマ課題」の会社を図解化し、目に見える形にして、全社員で共有できるようにしたいものである。


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