日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

社員から衆知を集め
決断し、実行するのは社長の仕事!

  社内には色々な意見を言う人がいて、社長も混乱することも多いことと思われます。中には社長さんよりも経験も豊富な年配の社員がいてやり難いこともあるかもしれません。しかし、サポートしてくれる人がたくさんいると良いほうに考えたいものです。「衆知を集めて経営する」ことを社是にしている会社もあります。自由な意見の交換からたくさんアイディアを出してもらい、最良策をまとめ、決断し、実行する経営をめざしましょう。


社長のリーダーシップで
順序を踏んだ議論の場を持てれば!
  日本人は一般的に、自分の意見を否定されると全人格を否定されたように思いがちです。そのため、反対されるのがイヤで意見を言わなく傾向もあります。確かに自分の意見が否定されるのは気持ちの良いものではありません。嫌なものです。しかし、そのように考えてはいけないと思います。
 社員の言うことに素直に耳を傾けてみると、なるほどと思うことも出てくるものです。考え方には色々あるものだと思えば気が楽になります。そう思った方が良いと思います。考え方が同じで意見も合うと思っていた社員が思わぬ反対意見を言ってくる場合もあります。時代が変わりつつある現在、社員一人一人の考え方も良い意味で相当変化してきていると見たいものです。

 問題があるなら、多くのメンバーで広い視野からよく考え、議論してみることです。何が問題かをはっきりさせ、いろい解決策を自由に出してもらう。ここでは、解決策について、なんとなく賛成とか反対ということはやめ、実行に値する解決策化どうか、その理由を率直に議論してもらいます。そうした議論を通して、具体的な解決策を絞り込んでいきます。排除されたアイデアはその理由を明確にし、皆に納得してもらいます。

 社長のリーダーシップで、このような順序を踏んだ議論の場を持てば、最良の結論に辿りつけるはずです。それでもまとまらない場合は、もう一度もとに戻りましょう。その結果、同じよなレベルの解決策が複数出てくることになるかもしれません。そうした場合は、どの案を採用するか決断するのは社長です。「A、B、Cの3通りの案があるが、B案を採用する。理由は、これこれ」というように決定の理由を明確にすることです。全員が納得している場合でも、採用されなかった人にとって見れば、不満が残るものです。なぜA,Cではなく、Bになったのか、もう一度静かに説明しましょう。
  このように決断し、皆に納得させ、決めた結論は必ず実行することが社長の仕事です。(2007.7.20 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
衆智を集める情報処理技術の練習を!

 「日本版6シグマ」のもっとも核心的な部分は、「6シグマ課題」について、周知を集め、最適なアプローチ方法を設計する創造的情報処理のプロセスである。 この情報処理手法の一つとして、KJ法による「A型図解」の作成がお奨めである。どのように周知を集め、これをどのように「A型図解」に仕上げるか、その基本プロセスは、次の通りである。」

■情報の収集とデータ化
 先ずは、解決すべき問題を「6シグマ課題」として設定し、具体的にどんな解決策があるか、自由に発言してもらう。この段階では、解決策として優れているとかいないとかを問わず、360度の視野から気軽にたくさんアイデアを出してもらい、1つずつ簡潔に文章化し、それぞれラベルに転記し、データ化する。

■データのグルーピング
 この段階では、いろいろなアイデアを出してもらったというだけで、解決の道筋ははっきりしない。そこで、これらのラベルを机の上にバラバラに並べ、あらためて一枚一枚をじっくり読んでみる。個々のデータが何を言わんとしているのか、頭の中でイメージしながら、似たようなラベルを集め、いくつかのグループに分けていく。
 ここでは解決策としてどうかと言った予見を持たず、軽い気分で、無理なく似たようなラベルを集め、5〜6個位のまとまりをつくることに徹する。即ち、グルーピングである。

■表札作り
 次は、各グループごとに、個々のデータが言わんとしている内容を探り、共通している本質的な意味を浮き彫りにする。ここでは、「どういうわけで、この何枚かのラベルが一つのグループになったのか」を考え、結局、「一言で言うなら、共通してこういうことを言わんとしている」として、これを簡潔でわかりやすい文章にし、一枚のラベルに記述する。これが「表札作り」である。
 「表札を作る」ということは、言い換えれば、グルーピングされた何枚かのラベルを、それぞれに共通した本質的な意味を浮き彫りにした一枚のラベルによって置き換える作業である。
 このグルーピングと表札づくりを順次繰り返すことによって、衆智の解決策は、最終的に6枚か7枚の表札で代表させることができる。この情報処理の方法は、集まった解決策からベストなものを選ぶというものではなく、それぞれが持っている本質的な意味あいを探り、これを5〜6位の課題に少しずつ統合することによって、より確かな解決策の全体を発想する方法である

■インデックス図解の作成
 
最後は、最終的な6枚か7枚の表札をもとに、「6シグマ課題」に対する整然としたアプローチ方法の全体を一つの構造にダイナミックに設計するラウンドである。
 先ず、これらの表札をバラバラに並べ、お互いの表札の関係、主に、因果関係、相互関係、共通関係、対立関係等を明確にし、一枚の図解に仕上げる。これがインデック図解作成のための空間配置である。
 このインデックス図解をもとに、「6シグマ課題」に対尾するアプローチ方法をデザインし、その上で各表札の中にある個々の解決策、即ち具体策を見直し、実行計画への仕上げを行う。


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