日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

従業員に生き生きと
働いてもらうのは社長の責任!

 先日社長さんは、「経営状態が悪いから従業員にも我慢してほしい。私の給料もほとんどゼロでやっている」と悪びれずに内情を話してくれました。しかし、従業員のほとんどは、アルバイトで会社に来ているのではありません。皆さんは、自分の生活があり、家族の生活を支えるために一生懸命働いています。
 従業員は、1日の内、眠っている時間を除いた時間の半分以上を通勤と働くことに使っています。その上、土曜日も出勤して会社を支えてくれています。しかし、一日のほとんどを過ごす会社で、生き生きと溌剌と働いてくれているでしょうか。これ以上、どう頑張れば良いのか分からずに、時計を見ながら昼食と終業の時間がくるのを待っているというような人はいないでしょうか。会社のためにも、従業員のためにも、どうしたらいいか、社長の責任で本気で考えて戴きたいと思います。


業績低迷の時、どう頑張ればいいのか
従業員は社長さんからの号令を待っている!
 従業員が元気で溌剌と働けるようになるためには何が必要でしょうか。皆でがんばれば、翌年には昇給がある。夏と暮れには賞与も期待できる。そうすれば家族で外食する回数も増やせる。帰宅時には手土産も持って帰れる。まとまった買い物もできる。若い従業員は一年後には結婚もしたいと思っていいる。従業員の皆さんは、このようなささやかな夢のために、一生懸命働いているのです。

 社長さんは、もう子供さんが成人して自立し、ほとんど経済的な心配がなくなっていますが、従業員にはこれから結婚という方、これから子育てという方もおります。社長さんは、こうした従業員の実情を分かっているとは思いますが、奥さんと家計の遣り繰りを相談している実態やその心の中まで本当に理解されているでしょうか。

 確かに社長さんは「皆さんががんばって業績を上げてくれれば、昇給もあるし、賞与も出します」と従業員の前で話しています。そして、従業員も一生懸命がんばっていると思います。しかし、これ以上具体的にどうがんばれば良いのか困っているのではないでしょうか。チームスポーツの世界では、それぞれの選手の役割が明確で、勝つにはどうしたらいいかわかりやすい。それでも、成績が上がらないと監督が責任を負わなければなりません。

 会社の経営成績は、監督の社長の責任が重大です。業績が低迷している時は、社長さんの手で、会社の中の雰囲気を大きく変える必要があります。社長さんには会社の経営上の情報が全て集まるようになっています。従業員よりも経験があり、仕事のこともよく知っているはずです。従業員はどうがんばれば良いのか、従業員の皆さんに夢とその道筋を与えて上げて下さい。そして、その夢を一緒に叶えようと、力強く号令をかけて上げて下さい。
       (2007.6.28
 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
社長自らの率直さが会社を強くする!

 「GE版6シグマ」の中で、ジャック・ウエルチは「経営やビジネスは単純だ。手ごわいライバルがどこかわかっている、打つべき手もさほど多くはない。やるべきことは簡単明瞭だ。諸君はやるべきことをやって、毎年収益を伸ばしてほしい」と言っている。
 大企業であれ、中小企業であれ、社長自らが会社の経営成績が悪いならば、どこがどう悪いのか、どうしたいのかをはっきりさせた「6シグマ課題」をシンプルに伝達するということだ。そうすれば、従業員も理解し、社長の姿勢ややり方を支持し、やり遂げるために積極的に役割を果たそうと努力してくれるはずだ。
 そして、何よリも、社長自らに従業員に言うべきことは言う「率直さ」があれば、従業員も会話に参加するようになり、いいアイデアを引き出すことができる。さらに、率直であればスピードも出てくる。皆の前でアイデアが出されれば、すぐさま議論して補強し、時を置かずして「やってみようと」ということになるというのだ。
 社長が考えていることを話し、従業員がアイデアを出し、これを議論し、改善し、決定を下す。このアプローチができるとうことは、会社を強くしていく上での必須条件である。
 業績低迷の時、どう頑張ればいいのか、従業員は社長さんからの号令を待っている。ジャック・ウエルチによれば、それは、社長自らが従業員に対して率直になることであり、そのことによって、従業員から率直さを引き出すことである。さらに、従業員から率直さを引き出すためには、報酬を与え、褒め続けることであり、何よりも社長自らが大袈裟なくらい元気よく「率直さ」をやって見せることだと言うのである。 


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