日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

会社全体で新製品開発に取り組もう!

  社長さん! 売上金額を増やす一つの方法は、売るものを増やすことです。しかし、世の中にない新製品を開発することは実に大きな労力が必要となります。これは開発要員がたくさんいる大企業でも難しいことです。中小企業にとっては限度があるでしょう。
  御社にとっての新製品開発は、そのようなものではなくてよいのです。大きな発明ではないのです。営業担当者が取引先を回っている際に聞き込んだ「このようなものがあれば良いのだが」「このようなものできない?」というような工事現場での「さりげない言葉」をヒントにした自社で製造可能な関連商品です。
 技術や製造担当だけでなく、むしろ営業担当が中心となって、会社全体で、顧客から耳にはさんだ苦情や要望に対応した製品をスピーディに開発できる会社をめざしたいものです。


新製品開発は、
中小企業を強くする絶好の課題!
 中小企業にあっては、取引先が困っていることを支援することにつながる製品はすべて新製品と考えていいと思います。このような新製品開発は、中小企業を強くする絶好の課題です。このためには、全社員に「中小企業だからこそ、新製品開発が大事!」という問題意識と意欲とセンスが求められます。
 毎週の定例打ち合わせの時に、又は、毎月一度でも良いですから、新誠意品開発のための会議を持ってはいかがでしょうか。最初はうまくアイディアがまとまらないかもしれませんが、こうした時間を設けることで情報を集める習慣もできます。問題意識も高まり、センスも磨かれてきます。それを大切にしたいものです。全社員の問題意識と意欲とセンスを磨くことによって、毎日でも新製品を出すアイデアや情報が出てくる可能性があります。
  50人や70人の規模でも、新製品の開発に強い中小企業の会社はたくさんあります。「そんな会社は特別だ」と決め付けないで、あまり無理のないところからはじめては如何でしょうか。「うちにはそのように気の利いた人はいない」「そんな能力のある人材はいない」と言わずに試してみて下さい。

  新製品を増やせば、その中から貴重な価値あるものがだんだんできてきます。それがいずれ企業の経営を支える柱になる可能性もあります。単に相手先からの注文だけを聞いて取引するのではなく、こちらからアイディアを提供でき、取引先を強くする企業に脱皮することも視野に入れたいものです。社長さん! 社内で新製品開発競争をしてみてはいかがですか。(2007.6.3 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
中小企業だからこそ
取引先を強くする新製品の開発を!

 「日本版6シグマ」には、会社の業績を上げる、つまり売上高を上げる推進力の一つとして、「GE版6シグマ」に習った「製品サービス」という概念がある。
 「製品サービス」とは、顧客からの「こんなもんがが欲しいのだが、何とかならないか」「このようなものがあれば良いのだが」「このようなものできない?」と言ったさりげない要望を本気で取り上げ、自らの技術力を強化し、供給できる製品やサービスの幅を広くすることで、顧客の事業の競争力や生産性を高めることに貢献するという概念である。
 「日本版6シグマ」は、中小企業が品質に優れた製品を安定的に供給し続けることに加えて、顧客の要望に応える関連製品の開発するという経営方針を重視している。重点顧客との良好な関係を一段とアップする上で、取引先を強くすることができる製品開発は重大な「6シグマ課題」であるからである。
 毎週あるいは毎月一度でも、「新製品開発会議」を定例化すれば、確かに、最初はうまくアイディアがまとまらなくても、今まで以上に顧客の声「VOC]に耳を傾けるようになり、情報を集める習慣もでき、問題意識も高まり、センスも磨かれてくるに違いない。
 顧客の要望にどう応えるか、開発会議の案を提示することで、顧客の真剣度もわかり、上手くいった時の売上げや利益のレベルにも関心がいくようになり、顧客と連携して取り組むテーマになることも期待される。
 「日本版6シグマ」には、独自のプロジェクトマネジメント手法「BSTプログラム」がある。「新製品の定例会議」にとって、このプログラムは、これまでの既存製品の注文に応えるだけでなく、既存製品の開発・製造で蓄積してきた技術を深め、幅を広げ、顧客が要望する製品開発に取り組むプロジェクトを成功させるためのマネジメント手法としてお勧めである。


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