日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

苦情対応はお客様の心の修理
苦情こそ大きなチャンス

 先日お伺いしたときでした。従業員の方が電話でしきりに誤っておられるのをお聞きしました。社長は、その電話が気になっておられるようでしたが、特別の指示をお出しになりませんでした。少々気になりましたので一筆申し上げます。

 お客様と商売をしていると時には失敗し、叱られることがあります。また、製品に不具合が見つかり、相手が怒って電話をかけてくることがあります。これが苦情です。このときの対応が一つの大きなチャンスになることがあります。

 苦情は突然準備していないときに起こります。そのためお客様の怒りの言葉にまともに返事ができなかったり、あわててできもしない約束をしてしまうことさえあります。しかし、このときの対応の良し悪しで、それ以降の注文がもらえなくなったり、かえって信用を高めて注文が倍増したりすることもあります。

 お客様からの苦情の解決は、「お客様の心の修理である」といわれます。苦情を言ってくるお客様は、当社に対する感情や心が壊れてしまっており、通常とは異なった複雑な思いと時には怒りさえ持っています。この時は、まずお客様の心を修理してあげなければなりません。


苦情は、
お客様からの貴重な情報

 苦情への対応は、まず相手の立場に立って、言いたいことを十分聞くことです。ゆっくりと時間をかけて、忍耐強く聞いてみることです。思わぬ誤解によるものも時はあります。誤解であれば、お客様の言い分を聞き、お客様の心持ちが落ち着いたところで丁寧にその誤解をぬぐいさってあげることです。

 当方に間違いがあれば、お詫びし、直ちに適切な対応策を提示します。このときは余計な言い訳をしないことです。へたに言い訳をすると誤解を呼び、傷口を大きくすることさえあります。

 苦情は、当社にとって聞きにくいことや聞きたくないことです。しかし、お客様からの貴重な情報なのです。これを転機として悪い点は反省して、姿勢や体制を改善することに結びつけることができます。そして、誠心誠意対応することで逆にお客様の大きな信頼を勝ち取ることもできるのです。
 事業を長く続けようと思えば、同じお客様から何度も取引していただかなくてはなりません。苦情という貴重な情報を生かしてさらなる信頼を勝ち得たいものです。

 最悪のケースは、当方の失敗や製品の不具合に対して何も言わないお客様です。このお客様は、二度と製品を購入してくれません。文句を言っても仕方がないと諦めて、黙って去っていくのです。このようなお客様は、当社を相手にせず二度と当社の製品を購入してくれません。このようなお客様の声は、直接聞くことができません。お客様が情報を提供しやすい「顧客重視の社風」を醸成することを怠ってはなりません。

 苦情対応について、一度真剣にお考えいただくと共に、社内で十分ご議論いただき、従業員へ対する教育を徹底していただきたいものです。(2006.6.20 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
苦情の創造的情報処理で!

 「苦情への対応は、相手の立場に立って、言いたいことを十分聞く、ゆっくりと時間をかけて聞く、忍耐強く聞く、そして、悪い点は反省して、改善に結びつける」とあります。
 「日本版6シグマ」では、お客さまの声「VOC」について、次のようなKJ法的な創造的情報処理を行い、お客が持っている不満、ニーズの本質的を探り、現時点で重点的に解決すべき「6シグマ課題」を設定します。

創造的情報処理プロセス
@360度の視野から、
Aあれもこれも、気になる声は取捨選択をしないで、
B簡潔な文章でデータ化する。
C個々のデータの意味をあらためて吟味し、
Dグルーピング、表札づくりを繰り返し、
E苦情やニーズの全体を5〜6つにまとめ、図解化し、
F重点的に取組む「6シグマ課題」を絞り込む。 

 この「VOC:苦情やニーズ」の情報収集、データ化、処理の過程で、お客と積極的に情報交換を行い、相互に問題意識と課題を共有化することができれば、それはお客さんから大きな期待と信頼を得ることにもつながるのです。


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