日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

中小企業の営業は
局地戦、接近戦での一点集中営業を!

  今更、社長さんへご提案申し上げるまでもないかと思いますが、御社の営業活動を見て気がついたことをご一報申し上げます。
 どんな企業にとっても、注文をとる為の販売活動は欠かせません。営業担当の少ない中小企業にあっては、その活動範囲は限定されます。営業活動にとれる時間も限られています。交通事情の悪い中では、さらに行動範囲は狭くなります。
  少ない人数でより大きな販売をするには、効率を上げなければなりません。そのためには、一部の地域に集中せざるを得ません。少人数での営業は、局地戦です。そして、顧客に密着して営業する一点集中、接近戦が必要になります。


顧客の
無理な要望に応えてこそ!
  例えば、お客様からの要望を本当に真剣に検討してきているでしょうか。「コレはうちが扱う製品ではない」とか「技術的に難しすぎる」とか「精度がきつすぎる」等と断ってはいないでしょうか。
 注文先も全く畑違いのとんでもないものは要望してはこないはずです。板金加工関連であれば、少なくともそれに近いもので、畑違いの樹脂成型品などを言ってくることはないでしょう。「こんなもんがが欲しいのだが、何とかならないか」と期待を込めて相談してくれるのではないでしょうか。
  御社にとって、少し無理な注文と考えられる場合こそ、技術力をつけ、売上を伸ばすチャンスです。社員に集まってもらって、何とか対応できないかを検討させてはどうでしょうか。「精度の要求が高いが挑戦してみよう」と先輩社員が言い出すかもしれません。「構造が複雑だが、少し納期を伸ばしてもらってやってみよう」となるかもしれません。
 勿論、このような要望に対応する為には、社員も大変です。残業や徹夜を覚悟しなければなりません。社員全員、常に新しいものに挑戦する意欲も持ち続けなければなりません。もし、自社で対応できなければ、相談できるネットワークを持たねばなりません。あらゆる方法を考えて対応する覚悟が必要です。

 顧客に密着した一点集中、接近戦の営業課題は、訪問する密度を濃くし、顧客の要望を積極的に引き出し、応えることで信頼関係を築くことです。その上で注文を他社に絶対にとられないことです。他社へ移ってしまった注文を戻すには大変な労力が必要になります。
 むしろ他社からもぎ取るくらいの密度の濃い売り込みをしたいものです。更にそのお客から新しい取引先を紹介して貰えるようにすることです。そのためには、顧客と顧客に紹介してもらった会社とその会社の取引先との関係について十分配慮する必要があります。
 悪意はなくても、これまでの取引関係を引き裂こうとしているわけです、担当者からは警戒されますし、敵視される場合もあります。常識と言われればそれまでですが、細心の注意を払いたいものです。一点集中で、他社の仕事をもぎ取る積極性、大胆さは大事ですが、信義を忘れない配慮もしたいものです。(2007.5.10
 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
「製品サービス」が
顧客との共通したプロフィット課題!

 「日本版6シグマ」には、会社の業績を上げる、つまり売上高を上げる推進力の一つとして、「製品サービス」という概念がある。
 「製品サービス」とは、顧客からの「こんなもんがが欲しいのだが、何とかならないか」という要望を本気で取り上げ、自らの技術力を強化し、供給できる製品やサービスの幅を広くすることで、顧客の事業の競争力や生産性を高めることに貢献するという概念である。
 中小企業が、品質に優れた製品を安定的に供給し続けることは、顧客との良好な関係を築く必須条件である。その上で、「日本版6シグマ」は、中小企業に対して、重点顧客を絞り、供給する製品のクレームの解決はもちろん、顧客の無理な要望にいかに応えるか、すなわち「製品サービス」の問題にまで取り組む、接近戦での一点集中営業を重視している。
 顧客からの要望に対して、「要求精度の高さが問題だが、挑戦してみよう」「構造が複雑だが、少し納期を伸ばしてもらえればなんとかなる」として、顧客からの無理な要望に敢えて応えるようになることにこそ、中小企業が技術力をつけ、売上を伸ばすチャンスがある。同時に、顧客との信頼関係を確固たるものにできる可能性もある。こうして、「製品サービス」こそが、双方の新たなプロフィット課題になってくるのである。


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