適正販売価格を見極める力
価格を安くして販売することは誰でもできます。価格が高い為に売れなければ何もなりませんが、決して安売りしてはいけません。いったん商品の価格を安くすると値上げすることは、大変難しくなります。通常は、下げた価格を値上げすることは不可能に近いことです。鉄鋼やオイルの価格が上がっても、それを原料やエネルギーとし、製造する商品も値上げ交渉は、大変難しいことは良く新聞でも報じられています。
しかし、商品の価格には世間相場というものがあります。原価が高くかかったから、高く売れるというものではありません。本当に競争力があれば、高く売ることもできますが、適正価格がどこにあるかを確かめることです。その上でできるだけ高く売るのが営業です。
適切な生産計画を立てさせる力
営業担当者は、市場の需要状況、自社の生産能力を正しく把握し、それに見合った販売計画を立てます。たくさん販売できる見通しがあれば、その数量に見合った生産規模のアップを提案しなければなりません。生産現場は、通常勝手に製造はしません。営業の販売見通しの情報をもとに生産計画を立てます。
営業は過剰在庫にならないよう、良いタイミングで売ることが大切です。過剰在庫が発生したとすれば、それは市場の状況を生産現場に正しく伝えることができなかった営業の責任です。
売掛金を確実に回収できる力
もうひとつ営業で大切なことに売掛金の回収があります。営業は目標とする販売金額に気を取られて、販売金額を達成すると安心してしまい、売掛金の回収がおろそかになります。製品には、すでに原材料の調達費用がかかっています。人件費は、給料の形で支払ってしまっています。売り上げが回収できないこと、資金が回らなくなることを意味します。
大抵の企業は運転資金が十分とはいえない状態で経営しています。資金に余裕ができれば債務の返済に充てます。債務がなければ効率の良い投資に向けるのが普通です。販売金額の回収ができなければ、経営資金が足りなくなることを意味します。
このように営業部門の責任は大変大きいのです。請求書が締切日まで届かないと、相手は支払ってくれません。請求書がないと支払いの必要なことさえ知らない場合もあります。請求書はできるだけ早く準備し、締切日に間違いなく届くように、少し早めに送付することです。請求書を出すのを「うっかり忘れた」ではすまないのです。(2006.12.5 中小企業診断士 加藤文男)
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