日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

お寿司屋を経営する社長さん 
アルバイト店員で評判を落としていますよ!

  社長さんの店に昼食に寄らせていただきました。時間は正午になったばかりでした。まだお店は、それほど混んでいなく席が十分ある状態でしたが、社長さんが常々お話しているお店のサービスとは大分違っているように思われました。
  注文を取りにくるまでに、お茶のサービスをするのがあたりまえのはずですが、それがありませんでした。それどころか、注文のお寿司が出ているにもかかわらず、お茶がまだ出ていないお客様もありました。まだお湯が沸いていなかったのかもしれませんね。
 注文を取る係りはアルバイト店員のようでしたが、通路をふさいだまま、伝票にメモしているようで、お客様は奥の席に移動できずに立ったままでした。店員は、まったく気がついていないようでした。
  


「ランチ握り」どきの
お客様接待の「ABC」の見直しを!
 しばらく全体の様子を観ていたのですが、注文した品を出す順序も間違えておりました。先に注文したお客様は後回しになって、後から来た二人の客の内の一人に先に出されていました。二人客のうちの一人は、相手の注文したものがくるまで食べずに待っていました。先にきたお客様は、さらに待たされたままでした。
  別の店員が、入り口付近から順番にお茶を配り始めました。私のところにお茶が届いたのは、席について8分ほど経っていたでしょうか。それから注文をし、食事が済むまで40分ほどかかってしまいました。
   注文したのはいつものサービスの「ランチにぎり」でした。普通であれば20分もあればすむ昼食が、40分もかかったのです。その日は時間に余裕がありましたので、ゆっくりお茶を戴き、文句も言いませんでした。 

 昼食どきの社員は、板前さんを除き一人だけ、あとはアルバイトだそうですね。店を出る時にレジの人に聞きました。お寿司を握る職人さんは一流でも、お客様に直に接するのは店員です。板前さんは、「いらっしゃい」と元気良く迎えてくれましたが、そのあとのサービスは及第点とは言えませんでした。

  アルバイト店員だから仕方ないというのはどうでしょうか。お客様は、結構見ているものです。お昼の「ランチ握り」でこそ、お店の評価を上げるべきです。もう一度、店員に対するお客さまの接待に関する「ABC」の指導の徹底を図って下さい。(2006.10.30中小企業診断士 加藤文男)  


「日本版6シグマ」からの提案
社長の寿司店の理想像を語り、
現場のやる気を刺激する雰囲気づくりを!

 「日本版6シグマ」は、経営トップの「お客さんに喜んでもらえる製品やサービスを提供し、これだけの売上と利益を上げることができる会社にしたい!」というビジョンを実現するために、トップと現場が一体となって取組む全社的な問題解決活動である。
 「社長さんの手紙」の寿司店の経営で言えば、先ずは社長自身のあるべき寿司店の理想像を従業員にしっかり語ることである。
 その上で、「現在の店の状況はどうなっているか、どんな問題があるか、何をどのように解決していかなければならない」について、板前さんはじめパートの社員も巻き込んで一緒に考え、討議する場を持ち、現場の一人一人から意見やアイデアを辛抱強く引出す。アルバイトの店員からこそ、お客の接待のあり方について、真摯に意見やアイデアを引き出すべきである。
 上手く実行でき、成果が上がれば褒めることで、ますます現場のやる気を刺激する、こうした社長の上手い雰囲気づくりこそが、寿司店経営の「6シグマ」の基本になるということではないだろうか。


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