新連載

  その7 プレステ2、お土産は1台まで 
      


                    −一度に2台以上持ち出すと違反です−

 新聞でも報じられたとおり、ソニーブランドのプレスト2の人気は大変なものである。品切れで、店の前には、"次の入荷は何時かわかりません。"との表示があるくらいである。ゲームに興味のあつマニアにとっては、魅力の大きい商品であり、すでに海外でも店頭に並んでいるとの報道さえある。海外へ出掛けることの多い人には、手に入れば、結構なお土産の一つとなり、また、海外へ赴任した日本人から購入を依頼されることもあると思われる。
 ところがこれを、2台以上一度に、お土産用に海外へ持ち出すと外為法違反になります。理由は、外為法上、通産省の許可の必要な該当品になっているからである。なぜ、該当品になっているのか。

 その一つは、グラフィック処理機能の性能が良すぎることである。最近のゲーム機の機能は非常に高度になっており、どんどん臨場感のあるもの、画像の美しいものに改善されてきている。このプレステ2でも臨場感あふれる映像にするために、グラフィック処理能力を非常に向上させている。その結果、法律で規制されているレベルを超えてしまったのである。処理能力が高い為にミサイルの誘導装置に搭載し、軍事用に転用できてしまう。"たかが、ゲーム機"と言えない高性能レベルの映像処理機なのである。
 このグラフィック機能を有する機器を改造してミサイルに搭載したとする。攻撃目標と定めた映像をデータとして、記憶させておき、ミサイルの先端に取り付けたカメラで捕らえた映像と比較し、ミサイルの軌道を修正して攻撃精度を格段に上げることができるようにできる。イラクのクエート侵攻の際にアメリカ群のミサイル攻撃のTV放送映像を思い出すと納得できるだろう。
 グラフィック用の処理機能を要するものは、少し専門用語で説明すれば、「3次元ベクトル生成速度が1秒間に300百万ベクトル以上」の場合、安全保障貿易管理関連貨物として該当品になり、これを大量に輸出する場合には、通商産業省の許可が必要になる。        (輸出令第7条三のへの項)

 二つ目は、高度な暗号機能が搭載されていることである。暗号については、現段階では、プレスト2としては、この暗号機能を使用していない。しかし、将来インターネットに使用できるようにすることを考慮して暗号機能を入れており、この暗号の解読の難しさのレベルが法律の規定を超えているとのことである。
 暗号機能については、法律では該当品を次のように規定している。
 *対称アルゴリズムを使用した暗号機能で、アルゴリズムの鍵の長さが56ビットを超えるもの。
 *非対称アルゴリズムを用いたものは512ビットを超える整数の素因数分解のもの。
                                            (輸出令第8条九のイの項)

 ただし、これらの該当品については、例外として、5万円までであれば、特例として、海外へ持ち出すことが認められている。一台3万9千8百円のこのプレステは、一台であれば持ち出しが可能である。二台となると、5万円を超えるために法律違反となるのである。奥さん同伴のときは、一台づつとして、二台までは、持ち出し可能であります。子供が一人居れば三台までOKです。
                                           (輸出貿易管理令第4条の3)

 少し、解説が多くなったが、好意的にお土産を持参しようとしても法律を知らないといつのまにか違反してしまうこともあるのである。一人で三台持参して、見つからなければどうか。それは、あなたの心臓と良心しだいです。もっと詳しいことを知りたい人のために。(解説参照

                 
注意 平成12年12月法律が改定され、大幅に規制が緩和されました。


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