中里さん
イタリア フィレンツエ便り

24 フィエーゾレの丘の古い教会
真っ直ぐに天に伸びる糸杉

10月17日(土)
先日迄、昼間は真夏日のようでしたが、今日の朝は吐く息が白くなり、アパートから通りを覗くと、ダウンや厚手のコートを着た人達が目立ってきました。

フィレンツエ市内はミケランジェロ広場からの展望がもっとも美しいと言われております。でも、今日は反対側の丘フィエーゾレに出掛けました。丘の上には古い教会があり、その下には糸杉が高く伸び、糸杉の後ろには、墓石が朝の陽を浴びて、きれいに並んでおりました。

トスカーナの起源は昔、エトルリア人が住みつき、そこに三つの大切な物「糸杉、ブドウ、オリーブ」を植えた事から始まったようです。真直ぐに天に伸びている糸杉は墓所に植えられました。「魂が天国に早く届くように」との願いを込めて。トスカーナを語る時はこの三つが忘れてはならない大事な物のようです。

帰りのバスで、転んで膝をすりむいて泣きじゃくる子を抱えた若い母親が乗ってきました。親子の会話は英語。怪我の処置に戸惑っている様子でした。咄嗟に我が女房が、日本のウエットテッシュを取り出し、「アルコールだからOK!」。理解してくれたのか、うれしそうに「これは、ベリーグッドだ!」
満面が笑み。イタリアにはこういうものは無いようだ。

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