野口英世の生き方に おける 段取り力 |
ちくま新書 星 亮一 |
筑摩書房 斉藤 孝 |
著者の斉藤孝は「できる人はどこがちがうのか」(ちくま書房)で、「まねる力」、「段取り力」、「コメント力」が社会で生き抜いていくために必要な力だとしている。「段取り力」は、最近一冊の本として出版されたが、冒頭に「私たちの間にはそれほど大きな才能や能力の差はない。ただ段取りのいい人と悪い人がいるだけだ。何かに失敗した時、自分には才能がないとか能力がないとか言いがちだが、才能や育ち、環境のせいにすると改善のしようがないから、努力もしない。だが、段取りが悪かったから上手くいかないんだと考えると対処法が違ってくる。これが重要なポイントだと」ある。 段取り力について、こうした理解にたどり着いたとき、先日読み終えたばかりの「野口英世の生き方」を読み返してみたい気持ちになった。野口英世が千円札に登場することになって以来、私の出身県である福島は沸きに沸いている。著者の星亮一はあらためて野口英世の会津から東京、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカに至る足跡をたどり、「英世の生き方」から我々現代人は何を学ぶべきかを問い直している。 著者は英世から何を学かという問いかけに「英世を見習えば、どんなことでもできる。そして、それぞれの道で成功する」ということにしているという。さらに「東洋の小国日本が世界の大国に仲間入りできたのも、英世のように猪突猛進に頑張る精神があったからだ。戦後廃墟の中から立ち上がったのも何万、何十万という英世がいたからではないか」と結んでいる。 |