再びアメリカに学ぶ
「日本版6シグマ」の提唱

 「TQC」的問題解決は、現場、現物主義で、工場の作業工程を見て、クレームや不良の発生状況を確認し、原因追究に入る。製品別にどんなクレームや不良が発生しているか、「時間別、機械・設備別、担当者別、原料・材料別、測定・検査方法別」等の項目に分類し、クレームや不良発生頻度の高い項目から順番に、原因を究明し、解決を図る。これがTQCの「層別」による問題解決である。
 「日本版6シグマ」では、独自の問題解決手法として「BSTプログラム」が体系化されている。発生しているクレームや不良について、「情報収集→ラベル化→グルーピング→表札づくり→グルーピング→表札づくり」という「KJ法的情報処理」の繰り返しによって、5つないし6つ程度の「表札」にまとめ上げる。
 これら「表札」の空間配置(図解化)によって、クレームや不良の発生につながる内部要因「CTQ」の間の相互関係を把握する。その上で、各工程の問題について、表札単位で「層別」を行い、「CTQ]を絞り込み、本質的に解決すべき「6シグマ課題」を大胆に発想し、最適アプローチ策を検討する。
 「BSTプログラム」を武器に「VOC」を出発点として「CTQ」を絞り込み、「6シグマ課題」を設定し、組織全体で問題解決的に取り組む活動が「日本版6シグマ」である。 


「VOC、CTQ」から
「6シグマ課題」を発想する力

 企業の側の内部要因「CTQ」は、お客様が発信してくれる「クレーム情報:VOC」の中に存在する。しかし、お客様は企業の内情を良く知らないために、具体的に指摘できないもある。企業は、これらの情報を素直に丁寧に読むことで、「CTQ」を見つけ出すことができる。
 CTQ」の解決にあたっては、社員の一人一人は、いろいろな意見や改善案を持っている。それらの意見を素直に聞くと、企業側が解決すべき「CTQ」が浮き彫りになってくる。
 一人一人は、意見や要望はいえるが、問題の本質や将来どのようにすべきかを具体的に提言することは難しい。そのため、その企業や部門に対する要望や不平・不満の形で示すことが多い。これらを丁寧に取り上げることができれば、企業の将来を見極めることが可能になる。こうしたアプローチに有効なのが「日本版6シグマ」である。
 現在までの日本教育のほとんどは、受験勉強のための知識を詰め込むことに集中してきた。社員も、専門知識と業務内容を吸収することに集中する。何か問題が起こるとそれまでに勉強し、詰め込んできた知識の中から解答を探そうとする。
 しかし、右肩上がりの経済環境が大きく変わってしまった現在、過去の多くの成功例が役に立たなくなってきている。現在われわれは、混沌とした状態の中にいるといってよい。問題さえ見つけだせないでいる場合もある。
 日本の教育では、問題を見つけ出すことを教えることをあまりしてきていない。問題は与えられるものであった。与えられた問題に対して、以前に学んだことから解答を探し出し、それを答案に書いて提出することで評価されてきた。問題や課題は、常に与えられるものであって、自分で作り出すものではなかった。
 日本の企業も、どこかに良いと聞くものがあれば、それを学習し、まねることを通して発展してきた。欧米諸国に追いつき追い越せがそうであった。
 現在日本の企業は、先の見えないデフレに長いこと、今なお呻吟が続いている。多くの企業は、事業のリストラや社員の非定期化以上の意対策が打てているかどうか疑問である。。
 これらの漠然として"得たいの知れないもの"に遭遇している企業が、そのおぼろげな中から自分たちの問題を明確にし、どのように解決するかを導く新しい経営管理手法が「日本版6シグマ」である。


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