QCサークルや6シグマを
研究する必要がある

   最近、東海村のJOC核燃料工場の放射能臨界事件や雪印牛乳の中毒事件など、品質管理の問題が社会問題になっている。ISO9000認証コンサルタントの中には、ISO9000を採用し、認証を受けておけばこのような問題が起らなかったと言う人もいる。
 JOC核燃料工場の問題は、マニュアルを書き換えていたと言う説もあり、必ずしも、防げたかどうかは疑問である。雪印乳業の問題にしても長時間の停電のため原料の入った設備の温度が上がったことが品質問題の原因だとすれば、マニュアルに表現しきれなかった部分もあるのではないかと推測され、これも防止できたかどうか疑問が残る。

 雪印乳業は、歴史も伝統もある企業である。ここで働く熟練した担当者の中に、品質を決定する製造状況や工程を良く知っている人がいた筈である。長時間の停電が品質の劣化に影響を与えることを危惧した人も当然いたと思う。そうした人が定年などで、重要なノウハウを伝えることなく、退社してもういなかったのだろうか。
 「これは、危ないかもしれない。」と危惧した人がいたけれども、全部廃棄するには企業の負担が大きすぎると思い、この危惧を責任者に進言する勇気が出なかったのかもしれない。また、責任者に「本当の気持ち」を進言できる雰囲気が無かったのかもしれない。


ISO9000
QCや6シグマと一体化した
経営管理システムとしての再デザインを

  「QCサークル活動」には、自分のサークルの範囲を超えても、いい製品をつくろうとする熟慮と熱意と雰囲気があった。少しでも品質を高めることで、世の中の役に立つことに喜びを感じていたのである。だから、残業時間でも労を厭わず意見を出してきた。
 「6シグマ」でも、「顧客の声」を読み取り、目標達成ための「6シグマ課題」を設定し、全体で解決に取り組む体制づくりを重視している。経営のトップを中心に、本当に良いものを供給しようとする方針があり、自由に進言できる雰囲気があったならば、雪印のような中毒事件も防げたに違いない。

 「ISO9000」だけで、雪印のような問題を完全に防げるとは思えない。仕事の内容を見直す点での効用はあるが、ルールやマニュアルを越えて新しい価値を生み出すような仕組みづくりは期待できない。
 トップの方針で、「ISO9000」と並行して「6シグマ」や「QCサークル活動」を採用している企業もある。「QCサークル」や「6シグマ:では、品質改善や効率向上に向けた課題解決について、各人が自由に発想し、能力を発揮することが期待されている。
 特に、「6シグマ」では、「方針と目標を与え、人間、組織、金を中心に経営資源を準備したならば、管理をしない、任せる」だけである。この「6シグマ」には、品質問題についても、社員一人一人にやる気を起こさせ、意見をたたかわさせ、改善をやりきろうとする組織土壌を醸成できる可能性が感じられる。
 ISO9000が、これからの日本における新しい経営管理システムになり得るためには、「QCサークル活動」や「6シグマ」を良く研究して、新しい体系をデザインする試みる必要がある。


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