QCからシックスシグマへ

その7
 ISO9000について 3  

      QCサークルやシックスシグマの特長を研究する必要がある

 最近、東海村のJOC核燃料工場の放射能臨界事件や雪印牛乳の中毒事件など、品質管理の問題が社会問題になっている。ISO9000認証コンサルタントの中には、ISO9000を採用し、認証を受けておけばこのような問題が起らなかったと言う人もいる。JOC核燃料工場の問題は、マニュアルを書き換えていたと言う説もあり、必ずしも、防げたかどうかは疑問である。雪印乳業の問題にしても長時間の停電のため原料の入った設備の温度が上がったことが品質問題の原因だとすれば、マニュアルに表現しきれなかった部分もあるのではないかと推測され、これも防止できたかどうか疑問が残る。

 雪印乳業は、歴史も伝統もある企業である。ここで働く熟練した担当者の中に、品質を決定する製造状況や工程を良く知っている人がいた筈である。長時間の停電が品質の劣化に影響を与えることを危惧した人も当然いたと思う。そうした人が定年などで、重要なノウハウを伝えることなく、退社してもういなかったのだろうか。
 「これは、危ないかもしれない。」と危惧した人がいたけれども、全部廃棄するには企業の負担が大きすぎると思い、この危惧を責任者に進言する勇気が出なかったのかもしれない。また、責任者に「本当の気持ち」を進言できる雰囲気が無かったのかもしれない。

 QCサークル活動では、本当に良いものを供給することにグループで色々な角度から検討を加える。時には、自分のサークルの範囲を超えても、品質について配慮をする熱意と雰囲気がある。
 QCサークルメンバーは、少しでも品質を高めることで、世の中に役に立っているという喜びを感じていた。だから、残業時間でも労を厭わず意見を出してきた。シックスシグマでも、目標を達成するためにあらゆる方面に配慮をして仕事をする。顧客の要求を読み取り、目標を決定し、問題を解決しようと検討する。このように会社の中に、本当に良いものを供給しようとする方針が明確にあって、自由に進言できる雰囲気があったならば、雪印のような中毒事件も防げたに違いない。

  トップダウンでISO9000とシックスシグマの両者を採用している企業もある。しかし、ISO9000で、雪印のような問題を完全に防げるとは思えない。仕事の内容を見直す点での効用はあるが、ルールやマニュアルを越えて新しい価値を生み出すような成果は期待できない。
 QCサークルやシックスシグマでは、改善や問題解決に対して、各人が自由に発想し、能力を発揮することが期待されている。特に、「理念を与え、人間、組織、金を中心に経営資源を与えたら後は管理をしない」という、シックスシグマには、各人に品質についての感性を働かせ、素直に意見を言わしむる土壌を醸成できる可能性が感じられる。
 ISO9000が、これからの日本における新しい経営システムになり得るためには、QCサークルやシックスシグマの特長を良く研究して、新しい体系化を試みる必要があるであろう。


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