QCからシックスシグマへ

その5
 ISO9000について 1  

ISO9000は第三者による品質保証システム

 品質管理の一つの考え方として、ISO9000がある。今話題のISO9000なので説明する必要がないかも知れないが、整理をすると次のようなものである。

○ 供給者の品質システムが、購入者が満足する製品、サービスを提供できる能力
  を保持しているかどうかを確認するための国際規格。
○ 信頼できる第三者が供給者の品質システムを評価し、ISO規格に適合している
  ことを判断し、登録する(認証する)方法をとる。
  この認証を取得していないと欧州へ輸出できなかったり、輸出し難くなるため、
  日本を始めとして東南アジア諸国の製造業が競って取得している。

  先ず、経営トップが、ISO9000を導入する方針を決定することで始まる。生産ラインの各工程での業務内容と責任の所在、業務の進め方を明確に文書化し、日々の仕事は、これを忠実に守るとするものである。
  経営者が品質方針を明確にし、文書化する。この品質方針と目標を全従業員に理解させ、目標達成に向け、実行させる。その手段として、現場の作業などの頭の中にあるノウハウまで文書化して、すべての仕事において文書通り実行させることをねらいとしている。
 文書化された作業内容や業務内容を変更するにあたっては、権限のある人を決めておき、手順に従って変更しなければならない。また、その業務を実行したことを証明するために記録をきっちり取ることが求められる。さらに、定期的に品質保証のシステムが機能しているかどうかを検証する内部監査制度も定めている。これらの一連のシステムを構築することがISO9000では要求されるのである。

  今まで日本の企業が行ってきたTQC(総合的品質管理)は、「消費者が安心して買い求めることができ、かつ、長期間使用しても安心と満足を提供できる品質を供給者側が保証する」というものであり、企業が積極的に良い品質の製品やサービスを提供するという強い意志があることで意味があった。
  
  しかし、ISO9000では、購入者に代わって第三者機関が品質保証に関する要求事項を供給者に対して提示し、これを審査し保証するという、購入者の立場に立った品質保証の確認手順であるということができる。供給される製品の品質をいかに簡易的な方法で保証しするかを考慮したシステムである。ISO9000導入のメリットとして、この認証を取得したメーカーと取引する場合、従来の煩雑な検査が簡略化でき、または、不必要になり、購入者が品質に関するコストと労働力の削減ができる。供給先にとっては、取引先からの信用を増大できるとしている。
  しかし、審査をする第三者機関のレベルに絶対性がなく、バラツキが大きい実態がある。同じ名称の認証機関でも、国と担当者で認証を与えるレベルに相当違いがある。東南アジアのISO9000の認証を受けた企業を数社訪問して品質状態をチェックしてみたが、日本のメーカーや日系企業との品質レベルの差(不良率や歩留まりの差)は非常に大きい。品質管理体制の不十分な、品質レベルの低い、このような企業になぜ認証を与えたのか疑問に思われる例もある。

       認証は現在の品質レベル以上を保証するものではない。  
 
 ISO9000の認証を取得しているからといって、例えば、その企業の製品のバラツキは5シグマ以下であるとか、不良率は0.005%以下であるというように、安心して購入できるできる一定のレベルであるということを意味しない。
  ISO9000では、その企業が、その時点の品質管理や品質保証の体制や方法が、そのまま文書化され、その通り実施していることを記録され、確認されていれば認証されるシステムになっていることがその理由である。
 つまり、認証は、その企業が従来から持っている品質のレベルを維持するシステムが確実にあるということを表現しているに過ぎない。例えば、不良率10%と悪い品質レベルのA工場も、不良率0.0005%と品質レベルの高いB工場も、文書が整備され、その通り実施されているという記録があれば、共に認証される仕組みになっているのである。このようにISO9000が認証されても、その工場の品質レベル以上の品質をが保証されることを意味してはいない。その工場なりの品質を保証しますということでしかないのである。 


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