新連載
その4 パソコンを外国人へ売ってはいけない 

―― 海外旅行の時に注意すること――

 海外へ出かけるといろいろな人にお世話になる。最初からお世話になるとわかっていれば、お土産を準備するのだが、旅行の途中で、思わぬトラブルに巻き込まれないとは限らない。思わぬことで大変お世話を掛けたり、面倒を見てもらったりすると余分のお土産を持ってこなかったことを後悔する。そんな時には、自分の手持ちのものをあれこれ考え、お礼に何かあげたくなる。あまり価値のない物は気が引けるし、何とか気持ちを表したくて思い悩む。

 こんな時で、パソコンをお礼にプレゼントになどと考えてはならない。訪問する国によっても異なるが、ノートブックタイプやパームトップのパソコンがなかなか手に入らない国もあり、持参したパソコンを売ってくれとせがまれる時もあるだろう。手持ちのお金が少なくなって、換金したい心境になることもある。 しかし、「タイプも古いし、処理スピードも遅い。帰ってから新しいものに買い換えよう」などと、持参したパソコンをプレゼントしたり、売り払ってはいけない。

法律違反(外為法違反)になるおそれがあるからである。

 これだけパソコンが普及すると、パソコンは海外出張や旅行でも必需品となる。特に若い人には、少々重いけれども手放したくなくなっている。旅行中も報告書を書いたり、ホームページを見たり、E‐mailをやり取りするためにもぜひ持ってゆきたいものになっている。
今、アメリカでも欧州でも、東南アジアでも、パソコンは非常に安く購入することができる。このように普及したパソコンをプレゼントしたり、売ったりする事がなぜ法律違反の対象になるのか。

 問題は、そのパソコンにはいっているソフトウエアにある。

 パソコンは、今、単体単独で使用されることは少ない。個人でも会社でも、大抵は、E‐mailやホームページなどインターネットに使用している。この時に使われるインターネットエクスプローラやネットスケープナビゲーターなどブラウザソフトと言われるソフトウエアがインストールされている筈である。このソフトウエアに使用されている暗号機能が問題になる。

 この種のソフトウエアは、新しいパソコンを買えば大抵インストールされているし、インストールされてなくとも後でいくらでも、しかも無償でインストールできるようになっている。この様なソフトウエアがなぜ法律違反になるのかと反論されるかもしれない。

 それでも法律は法律、このソフトウエアが入ったパソコンを日本人が海外へ持出し、外国人へ売ったり、プレゼントしたりすると法律違反になる。この法律に違反すると懲役(5年以下)や罰金(200万円以下)の刑罰が科せられる場合がある。
 日本人が持参したパソコンを外国人へプレゼントしたり、売ったりしてはいけないのである。必ず持帰らなければならない。出張者などが、持参するときには、持帰ると言う条件付き特例で許可されているのが現状である。

法律に違反しないために

1 パソコンをお土産に持参したいときは、予め通商産業省の輸出許可を取る。
  メーカーは、この種のパソコン(ブラウザがインストールされたもの)の輸出の際、必ず許可を取っ
  ています。輸出する相手先によっては、許可されない場合もあります。
2 パソコンとして販売したい時には、この種のブラウザソフトを削除する。
  暗号の入っているソフトウエアを取り去って、パソコンだけで販売します。
  相手の人がもらった後に、現地でこの種のソフトウエアをインストールするのは、問題ありません。
3 最近のパソコンには、この種のソフトウエアが最初からインストールされており、簡単に削除できな
  い場合がありますので要注意です。
                          
注意:これは、2000年3月21日現在の法律の状況で
                              す。その後、2000年12月法律が改定され、
                           大幅に規制が緩和されました


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