その118
ミヤンマー便り (12)
インドネシアや中国よりも安い給与

日本企業が現地に工場を建設し、事務所を開設する際の重要な情報の一つに現地における給与がある。ミャンマーは年間40%とも言われるようにインフレが激しく、外国為替の変動も大きいが現地で入手した情報をお伝えしたい。

ミャンマーの公務員の待遇は、10,000チャット(日本円に換算して約¥1000)程度といわれる。しかし、公務員に対してはこれとは別に住宅(官舎)の提供や主食や醤油など食料の援助はあるので、そのまま比較することは難しい。ただ、市場における日常の物価は安いので生活できるとのことである。公務員は最低の生活を保障されている程度というのが妥当な表現のようである。ヤンゴン市内の大きなホテルのドアボーイはUS$40〜50(¥4000〜5000)であるから、これと比較しても公務員の給与がいかほどの状態にあるのか理解できると思う。

日本人が余暇に楽しむゴルフ場のキャディーの収入は、1日500チャット程度でこれにチップが加わる。気持ちよくゴルフができればチップを弾むので1回で3,000チャットくらいにはなるようである。しかし、キャディーの仕事は、観光客の少ない最近は毎日はできない。月収に換算すると30,000チャット(約¥3,000)くらいという。

民間企業、特に工場で働く人達はこれらに比較して良いようである。日系企業の現地人工場長の月収は、日本円に換算して¥4000〜¥10000くらいであり、マネジャー(指導者レベル)で¥2500〜¥5000、工場のガードマンで¥600〜¥1000くらいである。

 工場の作業者の給与は少しバラツキがあり、新入社員で月収¥600〜¥1000程度、2年以上の経験者になると¥1200〜¥2000に上昇する。インドネシアや中国華南地区の月収が¥10,000〜\12,000であるからそれと比較すると相当安い。

 一方、日系商社事務員の給与は約400USドル(¥44000)とその水準は高い。日本語をある程度理解できるほかパソコンなど事務能力も要求されるが、日系企業に勤務する人たちは相当恵まれていると言えそうである。

 温和な性格と勤勉な能力を持つ労働力が豊富にあると聞けば、経費の節減や厳しいコストダウンを要求される日本の製造業の経営者にとって大変魅力のあるミャンマーである。欧米諸国の経済制裁や軍事政権による政治的な問題、外国為替の変動や不自由さがなければ進出を推薦したい国である。

(註:上記の情報は2003年11月)

back