その110
ミヤンマー便り (4)
  100倍も違うミャンマー貨幣の交換レート

  ミャンマーは流通貨幣が3種類ある不思議な国である。本来の貨幣はチャット(Kyat)である。このほかに兌換券のFECs(Foreign Exchange Certificates)とUSドルが通用する。残念ながら日本円は全く通用しない。日本の紙幣が結構自由に使用できる他の東南アジアの国々とは異なる。USドルは大きなマーケットでは自由に使うことができるし、彼らが手持ちのドルがあればUSドルで釣り銭もくれる。しかし、USドルの方が貴重と見えて、黙っているとチャットでつり銭をよこす。しかし、田舎ではドルは通用しないらしい。

  通貨(Kyat)は、高額な方から、550、200、100、90、50、45、20、15、10、5、1Kyatの11種類あり、硬貨は、50、25、10、5、1Pyaの5種類である。1Kyat(チャット)=100Pya(ピャー)である。

  不思議なのは、15、45、90Kyatという我々日本人にとって中途半端な紙幣も存在することである。つり銭などよく計算できるものと感心させられるが、ネ・ウイン政権時代に発行されたもので、占い師が縁起の良い数字として進めたために発行されたとも言われる。真相はわからない。

  貨幣の価値は、1USドルが800〜1000Kyatなので、7.3〜9Kyatで1円となる。100チャット10円、1000チャット100円くらいと思えばよい。我々は日本出発前にUSドルに交換し、これを持参してチャットに交換する。この交換レートにはいくつかあって複雑である。政府公認の交換レートは、1USドル=6Kyatである。少し前までは外国人が入国する際には、空港などで強制的に300USドル両替させられることになっていたという。このときの交換レートは1USドルが1FSCsであったという。しかし、今回訪問した時(2003年11月)には、それはなかった。評判が悪いので一時中止しているのか、継続しているのか不明である。空港で強制両替を実施していなかったのは事実である。ツアー客には、別のツアー用の強制換金制度が適用され、旅行業者が納入する。

  ミャンマーにおいて300USドルは大変な金額になる。公務員の給与が表向き月額1000円程度と聞けば、その大きさもわかるというものである。数日の滞在では、よほど大きな買い物をしない限り使い果たすことはできない。チャット紙幣は海外持ち出し禁止という上に使い残しても再びUSドルに両替してくれない。結局はすべて使ってしまわなければならない。強制的な税金みたいなものである。高級なホテルに滞在し、300USドル使い切るのは一つの方法である。安いホテルに滞在すれば貴金属を買ってチャットを使い切るしかない。

  両替レートで割合の良いのは闇レートである。政府の正式交換レートは、1USドル=6Kyat、空港での換金レートは、1USドル=450Kyat。ヤミレートは、1USドル800〜1000Kyatとなる。ヤミレートで交換するのがもっとも得をする計算になる。その差は100倍もある。これを知らずに他の国のように空港が交換レートがよいと思って両替すると大変損をすることになる。ヤミレートで交換しても法律違反で捕まるようなことはないようである。

 このレートも変動が激しい。1997年7月には1USドル=160Kyat、1998年には、1USドル=250Kyatと変動し、毎年貨幣価値は落ちている。現在でも両替するタイミングで相当差が出る。ミャンマーへの旅行はレートについてよく注意をしないと大変得をしたり損をすることになる。どこの国でもそうであるが、その国をよく知る人に聞いて出かけるのが賢明である。

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