その107
ミヤンマー便り(1)
軍事政権の国

 ミャンマー、首都はヤンゴン。昔は、首都をラングーンといった、ビルマと表現した方がわかりやすいかもしれない。この国に関しては、第二次世界大戦時のインパール作戦やビルマの竪琴、そして、ノーベル平和賞受賞のアウン・サン・スー・チー女史がよく知られているが、そのほかのことはあまり知られていない。日本と同じ仏教徒が非常に多い国でありながら、テレビなどで最近情報がなかなか伝わってこない不思議な国である。理由は、ミャンマーの軍事政権がスー・チー女史を軟禁状態にしてから、欧米諸国が経済制裁を加えて貿易など自由にさせない方針をとっているからである。日本もアメリカにならって、人道的に理由があっても援助を取りやめている。

 日本の1.8倍の面積に約4千500万人の人口がいる。1988年に社会主義体制が崩壊し、国家平和開発協議会(軍政)が政権を担当し、現在に至っている。軍事政権下でスー・チー女史が軟禁されていることなどから、我々が市内を自由に歩くことも非常に厳しいのではないかと予想していた。事前の資料調査でも経済動向や中小企業の最近の新しい状況がつかめず不安を抱えたままの出発であった。しかし、予想とはだいぶ異なり、大変平穏で平和な国という感じであった。これから十数回にわたり、ミャンマーについて報告したい。
 まず、ミャンマーの地理的条件や民族や宗教など社会的状態を理解したいので記することにする。

ミャンマー概況

面積:67万6578平方キロメートル
人口:4510万人(1999年)
民族:ミャンマー族 69% シャン族 8% カレン族 6%  約50の少数民族
宗教:仏教 89% キリスト教 5% イスラム教 4% 精霊崇拝 1% 
    ヒンズー教 0.5%
言語:ミャンマー語
教育:5・4・2制 義務教育5年 成人識字率83%(1995年)
首都:ヤンゴン(旧ラングーン)
通貨:チャット (US$1=6.6チャット)
産業:農業 米、サトウキビ  (産業の約50%は農産物)
政治体制:連邦制(軍事独裁)
実質GDP:113億ドル (一人当たりGDP 300ドル1999年推定)
貿易総額:輸出 約30億ドル輸入 約20億ドル
経済成長率:10%以上

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