MM2100工業団地 2つの日系企業訪問記 |
MM2100工業団地は、ジャカルタ市の中心から約30km、ジャカルタ−チカンペック高速道路を車で30分ほどのところにある。1990年に日本資本(丸紅)60%、現地資本40%で設立され、すでに約130社が入居し操業している。日系企業も70社ほど進出して稼動している。スカルノハッタ国際空港からも1時間で行くことができ、便利なところに位置している。 ICHIKOH INDONESIA 工場内では、部品を持ち出すなどの盗難がときどきあるらしく、重要部品は事務所内で別に管理する必要があるという。また、仕事の中でもなかなか自主的に改善をしようという動きはなく、マインドもないという。ただ、トイレを拝借したが実にきれいであった。さすがに日系企業であると思った。管理されていることが良くわかる。赤道直下にある工場だが、事務所以外はクーラーの設備はされていない。訪問した際は、それほど暑さを感じなかったが、真夏は相当な暑さになるだろうと思われる。 工場内の各種の表示はインドネシア語である。「新製品を納期どおりに完成させよう」と言うスローガンがインドネシア語で書かれ、天井から下げられている。作業指導書は、一部日本語そのままのものにインドネシア語を追加したものを使用しているという。 この工場の設立に当たって、フィージビリティスタディの際、職業訓練学校とアイムジャパン(IMM JAPAN)の存在を知り、卒業生を採用し、製造技術別に技術と管理手法を指導し、現地語で作業者に指図する体制をとった。工程の係長に、これらの研修卒業生を当てており、我々の見学の際も彼らが中心となって日本語で案内してくれた。作業指導書が日本語で使用されるのも彼らの存在が大きいようである。 組立工程では、多能工化を推進しており、3〜4名のグループ構成で仕事をする体制を取っている。工程不良率は10%と高く、まだ満足するレベルに達していない。当面5%を目標にQCサークル活動も実践中である。検査部門では、限度見本の管理をきっちり行っており、検査する際には手袋を使用して作業を行っている。これからの品質向上に期待できそうである。 生産体制は、一直で交代制はまだおこなっていない。現在の従業員の定着率は、約90%で毎年10%くらいは辞めてゆく計算になるという。しかし、ここでも正式社員は解雇できない問題があり、短期で契約する社員も15名ほどいる。この会社においても、職業訓練学校CEVEST卒業生を採用している。すでに8名を採用したが、現在は4名が働いている状態である。 工場内は整理整頓が実によくなされている。日本の工場と変わらない管理状態にある。製品や部品を置く場所と通路が白線できれいに仕切られており、使用工具の保管位置も明確に定められており、5Sが徹底していることがすぐにわかる。入社と同時に日本語を教え、5Sの指導から始めるそうである。ここでも5SにCEVESTの卒業生が活躍している。 塗装工程と溶接工程の作業者には、汚れることと特殊技能に対して特別手当として10,000ルピア(約¥150)を支払っている。原材料の73%がドイツなどからの輸入になっている。日本からの輸入でないのは、特殊な部品を使用していることによる。板金プレスの工程と塗装工程、組立工程が主体である。塗装工程があるために、廃液、排水、粉塵について、6ヶ月に一度の政府からの検査が行われている。また3ヶ月に一度は、労働検査として、労働状態、安全衛生についても検査が実施されるそうである。労働者に対する保護のために、この種の検査は結構厳しく実施しているようである。 |