インドネシア 不安定な労働事情が問題 |
ここ2年間のインドネシアへの外国資本の投資は、下表のように大きく減少している。それと同時に、日系企業も含めた生産拠点の撤退も出てきた。
原因としては、@違法デモの頻発 A労働問題の深刻化 Bイラク戦争による対米輸出の減少があげられる。 中国においては、勤勉で安価な労働力が内陸部より次から次へと供給され、あと数年は作業者の賃金は上げずにすむであろうと言われる。又、製造組み立て工程などで品質問題を起こせば、新しい作業者に替えられてしまうなど作業者も真剣に仕事をしない者は解雇になってしまう厳しい人事管理の現実もある。中国製品は、価格が安いだけでなく、品質も格段に良くなっている。このままではインドネシアの製品は、世界の市場で勝てなくなってしまう。 現在ソニーの生産撤退が話題になっている。ソニーの工場の撤退は、サプライチェーンマネジメント(SCM)を理由として発表している。しかし、本当のところは不明である。多分真相は発表しないであろうと思われる。労働争議はサプライチェーンマネジメントにも、悪い影響は避けられない。撤退の理由はSCMとなっているが、本質のところは、インドネシアの不安定な労働事情にあるのではないか。 また、日系のホテルでは、バリ島の爆破事件やイラク戦争、更に中国に始まったSARS問題で客室の稼働率は30%を割っているとさえ言われている。しかし、過剰な従業員を解雇できずに抱えたままである。 このソニーの生産撤退をはじめとした、外資系企業の生産拠点の移転による内外の投資の落ち込みは、アジア地域におけるインドネシアの相対的地位の低下をもたらしている。外国資本の投資促進政策で課税問題、通関手続き、関税などではメリットを持ちながら、国内問題で投資が減少している。これらが現在のインドネシアの大きな課題である。 |