その92
改善される日本の通関業務
(No.89 の補遺) 

財務省は、来年度から一部の港湾で通関業務を土曜日、日曜日、祝日にも行うように改善すると発表した。(9月14日付け朝日新聞)
No.89 「ロジスティクス拠点としても進展著しい深セン」でシンガポールや香港の港湾では夜間も積み下ろしを行っていることを紹介し、ロジスティクスの点でも積み下ろしや通関業務を考える段階に来ていると指摘した。物流の国際競争力の点で関係者からの改善の要求も強かったらしい。夜間の積み下ろしの改善に加えて、一部の港ではあるが、輸出入の手続きも休日がなくなり、元旦以外は通関が可能になる。さらに、通関の業務の時間を午後5時終了を午後9時まで延長するという。これでシンガポールや香港の通関業務の実態に少しだけ近くなり、全体の物流効率が良くなるはずである。船舶の停泊する時間の短縮にも貢献するに違いない。アジアのライバル港に対抗する処置というが遅きに失した感もないではない。

すでにハブ港としての機能は期待は薄れてきている。シンガポールや香港の通関時間は24時間体制である。これでも遅れをとっている。安全性とか日本の取扱量が多いと日本の港の有利性を強調し、労働者の健康を守るということで夜間の積み下ろしなど一時やめてきたがもうそんなことは言っておれない。スズメの涙ほどかもしれないが、物流の改善だけでなく、これで港に関係する就業者が増えるはずである。ただ、午後5時までの業務を9時まで延長しても、場合によっては残業時間での処理になり、管理職も含めて勤める人にとっては就業時間が増える労働強化なるだけかもしれない。改善するのであれば、三交代制にして、中途半端な対策ではなく、24時間通関を実施すべき時であると思われる。これによって、ハブ港への復帰とまでは行かなくとも、少しでも日本の港へ寄る船舶の数量が増えることを期待したい。

back