新連載

 その1  捨てられる下手な英語の手紙


 −米国の日系企業で起きていること−

日本人の書いた英語の手紙は、我々日本人には比較的理解しやすい。
米国人のようなイディオムを使わないで、基本的な動詞や単語を使用して書いてくるし、発想が同じからだろう。
米国人にとってもすぐわかるらしい。なぜなら、よくわからない英語で書いてくるから。

 アメリカの日本企業に働く米国人は、手紙がきても、さっと読んで意味が分からないとすぐごみ箱に捨てる。"これはどんな意味だろう。"などと、詮索や検討はしてくれない。近くに日本人がいれば、これはどんな意味だと聞いてくれることもあるが、日本人がいなければ、その理解し難い手紙はごみ箱行きだ。日本人が苦労して書いた手紙がどれだけ読まずに捨てられているかわからない。返事がないので、後に会った時に、前に手紙を出し、届いている筈だと言っても知らん顔である。

日本人の書いた手紙は、言い訳や余分な説明が多く理解し難いという。特に、日本人にとって都合の悪い内容の手紙は、言い訳から始まりやすい。どうでもいいような言い訳をくどくど書いてから、してほしいことを書く。それもして欲しいことをずばりと書かずに推定して欲しいと言うくらいのニュアンスで書く。これでは、真意が伝わらない。

目的を達するためには、単刀直入に用件にずばりと入るべきである。どうしても説明したければそれからにすればよい。
 勿論、相手との人間関係ができていればそんなことはない。できるだけ理解しようと努めてくれる。わからなければ、その旨の返事をくれる。まだ人間関係のできていない相手と通信する場合には、必要なことだけを、わかりやすい英語で書くようにしたいものである。本当に下手な手紙は、直ちにごみ箱行きなのである。 


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