「人的資産の算定」についての感想、意見

      世の中は労働力のリストラ、流動化の時代を迎えました。この度、「人的資産の算定 
    ー人材・能力のバランスシートとキャリア再設計の指針−」というタイトルの小論を 「月
    刊人事マネジメント9月号」  (アーバンプロデユース社)に発表しました。
     
      問題解決力のある「M−5型組織」をつくる前提となる「人材をどうみるか」という問題
    を取り上げました。ご一読戴き、ご意見を戴けますようご案内申し上げます。 
                                                   (井上)  


 10月27日
 
      三菱キャタピラー(SCMシステムサービス)の新野さんから、
      次のようなご意見を戴きました。

井上 仁先生

 おはようございます。何時もお気に掛けて頂きありがとうございます。
弊親会社の新キャタピラー三菱が定期購読しているので遅れ馳せですが拝読致しました。
 
 B/Sに自己の資産価値を、現在値と5年後の有り高で展開して実行して行く事は、今の見えない時代のホワイトカラーにとって日々確信を持って生きる凄い手法と目から鱗が何枚も落ちた気持ちです。弊企画推進室の面々にもコピーを配布して勉強させています。
 丁度「ナレッジワーカーの生産性向上ーナレッジ・マネジメント実践の現場よりー」と言う講演をプライスウォーターハウスコンサルタント社シニア・ディレクターの森睦さんから聴いた直後だったので更に印象深く読みました。
 
  この講演、弊社とも多少係わりある会社でもあり、完全ペーパーレス、デスクレスを達成し30位で5000万もの年収、学生の人気上位で急成長を遂げています。社長自らが多画面表示のWAR ROOMで関係者と意思決定して行く迅速経営の標本のような猛烈会社に変身しています。
 
  この講演はソフトベンダーのアシスト社の研究会成果発表会の基調演説として、東京で10/12に行われ、大阪では10/28リーガロイヤルホテルで、名古屋で11/9名古屋ガーデンパレスで同じ講演が行われます。
  この研究会の幹事をしているもので、つい我田引水的なコメントで済みません。情報処理産業の最先端の現場で何が進行しているのか、IT技術の進歩に乗ってホワイトカラーを流動資産ではなくて固定資産として捕らえ「回転率」をあげることで収益を向上する、言い換えれば「ホワイトカラーをこき使う。」(結果的には大選別が進行している)術が経営側のアートとして確立していることを戦慄をもって聴きました。
 大阪・名古屋でご興味あり、時間が取れるようでしたら、詳細情報並びにエントリーの御紹介します。

同一社会現象の数値化・解法の原論が先生の論文、その絵解きと現場リポートが森睦さんの講演と言う感想を抱いております。10/5−8,10/12−15とTQM幹部研修会に行って缶詰でしたので御礼が遅れて済みません。ありがとうございました。


 ベルヒュード研究会(東京)の加藤さんから、次のようなご意見を戴きました。
 
 10月4日
 
 「人的資産の算定」をありがというございました。早速、小生も、流動人的資産と固定人的資産、さらに、能力資産の試算を実施してみました。
  長く続いた不況と高齢者の給与を制限する動きの中で、5年先の給与までは読めませんが、現実を当てはめることにより、考え方を理解するのに大変役に立ちました。人的試算のバランスシートは、大変面白い表現と思います。もし、小生が、30代であれば、直ちに、実行マスタープランまで作成し、実践し、挑戦してみたでしょう。

 能力の標準化とデスクロージャーが必要
 
  ただ4つの能力が、給与とどのように結びついているか、つまり、「自己査定値」とその「ウエイト」がどのレベルにあるかの判定が難しいと思いました。業務内容と職位、その上、企業間でも相当開きが出てくると思われます。本人と会社、上司の忌憚のない話し合いと企業の中で自由に異動できる「連帯感の構築」が前提となりますね。
  当面、企業の中で実施するには、貴論文に述べられていますように、社員一人ひとりを公平に評価すことと、その企業の中にどのような能力を必要とするかの標準化とディスクロージャーが課題でしょうか。 大きな企業は別として、企業や職場によっては、詳細な職務分掌が決まっていないところや決まっていても文書になっていないところも多いのではないかと思います。
  さらに、「企画・提案力」、「指導力」そして、「実行力」は、能力内容は理解できますが、そのレベルの客観的な評価方法が難しいと思います。業務内容と深く結びついてくると思います。

  企業間の流動化を図るためには、各企業に共通的な職務を持つ分野、たとえば、人事部門、総務部門、経理部門などから、標準化をし実践されることでしょう。
各個人が、共通の業務内容のマスター度合いにより、企業間の異動が公平で容易にできるようにするには、業務内容とその難易度、経験年数などを詳細に分類する必要が出てきます。基本的知識は、各企業毎に研修やOJTで指導訓練していることを文書化し、開示して整理することから始められると思います。

 各企業の文化と習慣の違いに課題がありそう

 大きい企業に長年勤務していると考え方が、大きく偏ってくるといわれます。その企業で使用される特殊な用語が世間一般で通用すると思い込むからです。
 その特殊な用語は、その企業と下請企業の間では、その社員が入社する前から使用されていたために、その社員に取っては、世間で当然のように通用するものと思い込むのです。最近では、その分野の機関紙、雑誌などで一般的な表現方法や用語に統一されつつあるとはいえ、文化や習慣の相違は、このようなシステムを考えるときに一つの壁になりそうです。

  割合早く「人的資産の算定」が必要になってくる

  とはいえ、現実には、一部の銀行や証券会社の社員のように、倒産、合併、事業規模の縮小などにより、リストラによる転職を余儀なくされ、半ば、強制的にその社員の経験した業務内容とその能力を評価することが行われているようです。また、業務の一部がアウトソーシングされたり、派遣社員に置き換えられることによりパソコン能力でWORDやEXCELで評価され始めており、給与が決められつつあります。
 社会の一部には、このような考えの先端が見え始めているような気がします。今回の貴論文は、この意味でも時期を得たものと思います。予測するよりも、割合早く「人的資産の算定」を実践するときが来そうな気がします。
 
 労働省に、「ビジネスキャリアー制度」がある

 業務内容とその標準化に関しては、労働省のビジネスキャリアー制度があります。ビジネスキャリア制度の主旨は、次のようなものです。
 「激動の時代には、ホワイトカラーの専門能力向上が企業の課題です。これまで社会一般に通用するホワイトカラー層の職務の教育基準が確立されておらず、企業毎に教育されていたのが実状です。ホワイトカラー層の職務に必要な専門的知識・能力を段階的に体系的に習得することを支援する教育訓練システムとして制度化されたものです。」
 この制度では、その分野での経験年数と認定教育を修了した後に試験を行い、ある一定以上の能力を持つ人を認定する方法をとっています。

 現在の認定試験が実施されている分野は、次の10分野です。

    人事・労務・能力開発  経理・財務  営業・マーケティング  生産管理
    法務・総務         広報・広告 物流管理         情報・事務管理
     経営企画          国際業務

  まだ、この制度には、小生は、ここ2年ほど、この中の「国際業務分野」にボランティアとして関わっておりますが、各企業での認知度がまだ不十分で、ホワイトカラー層に知られていないこともあり、受講者や受験者は少ないようです。この制度のテキストや試験内容は、4つの能力のうち「円滑で正確な業務を遂行するために必要な専門知識」の一部に結びつくのではないかと思います。


 10月2日現在
 
 
ホームページの「経営・組織・個人の新たな関係構築」と共に読ませていただいております。
「4つの路線からの選択」までは、よく理解できますが、「能力資産の試算手順」の部分がなかなか当てはめて考えるまでには至っておりません。
 バランスシートへ置き換えることは大変面白い考えと思います。現在の小生の置かれている立場がそうさせるのかもしれませんが、将来5年先の姿や見積もりが、ストンと腑に落ちてこないのです。
 将来の期待する収入についても、現在の周辺の状況を想定しておりますが、簡単に埋めることが難しいようです。広い立場に立って、じっくり、検討してみる必要が有りそうです。(加藤)  


 
興味深く読ませて頂きました。「人的流動資産バランスシート」「6つの組織モデル」など勉強になりました。今、京都のハイテク機器メーカーにかかりっきりで営業力強化の業務を請け負っていますが、創業まもない会社であり個性の強い企業文化をもっています。
 M2〜M5型を混在してもっており、通常の方法では営業力アップの施策ができず、多くの時間をこの企業ですごしながら企業文化を肌で感じながら改革を始めていますが、トップとメンバーの意識差が大きく苦労しています。 (香西) 

大変ご無沙汰しております。ご縁の会ではいつもお世話になっております。さて、「月刊人事マネジメント9月号」に論文をご発表された件、ご案内いただいておりながら返事が遅くなり申し訳ございませんでした。論文を読ませていただいて、以下のようなことを感じました。

 私は、これからの企業と個人との関係をあらわすキーワードは「自立」だと思っています。それは、厳しい経営環境においてリストラ云々が叫ばれているからではなく、もっとポジティブな意味で、「自分はどういう人生を送っていくのか?」「自分にとって仕事とは何なのか?」「そのために企業とどんな関係を保っていくべきか?」・・・と、考える必要があるんだと思っています。
 その際に、企業は個人にどのようなステージを用意できるのか、そして個人は企業というステージでどう貢献するのか、そしてどう自分を高めていくのかという、いい意味での緊張関係が必要だと思います。
 今回、井上さんの論文を読ませていただいて、こういう漠然と持っていた感覚が、実にすっきりと整理される思いがしました。
 また企業と個人の関係という「資産」だけでなく、個人の生活設計をバランスシートの「負債」として並列するアイデアは今まで見たことがなく、アウトプレイスメントやライフプランにもつかえるフレームワークだと思いました。
 あとは、流動人的資産の軸がこの4つで十分かどうか、そして年収試算をこのシンプルな枠組みですることが実感とどうずれるかなどが若干気にかかりました。
おそらく、自分を例に一度シミュレーションすればいいのでしょうがね。いずれにしましても、今回、論文のご案内をいただきましてありがとうございました。
 返事が遅くなってしまい本当に申し訳ございませんでしたが、これからも、いろいろとお教えいただければ幸いです。また、近いうちにお会いできることを楽しみにしております。  (梅田)

 真の人材の「時価」が問われる時代、「個人責任」の時代が主流の時代に日本も入り、スキル・キャリアを持つ人と持たざる人の収入・待遇・充実度の相違がますます問われ ています。個人的には、
やりがいが感じられますし、身体がいくつあっても足りないくらいの毎日を過ごしておりますが、「日
々是精進」で、「さび」のつかない商品としての自分でありたいと思います。  (印田)

 リストラ時代の人的資産の件、私の場合は、準備するには少し手後れと思いますが、今まで自分
なりに努力してきたつもりのことを自己評価してみたい気がします。ベルヒュード研究会に参加させ
ていただいて感謝しています。いろいろ興味を持って生きてゆきたいと思います。  (加藤)

 今回の原稿、非常に面白く又私にとって悩んでいる問題の大きなヒントになりそうです。特に人
材能力要件等、最近少しづつ勉強しているコンピテンシーという概念と重なりあいました。先日アメ
リカからコンピテンシーカード(日本語版)なるものを取り寄せ勉強しております。皆さんにも今度お
見せします。
  又、人的資産のバランスシートなど興味深く拝見いたしました。近頃、お客様の中でも損益計算
書より貸借対照表を大事に考える方が増えてきました。バランスシートは会社の歴史そのものだ
と思っていましたが、個人でも全く同じですね。自分のバランスシートをもし作ったとしたら、多分、
恐くなると思いました。20日の例会楽しみにしております。  (宇佐美)
 


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