研究会情報

5/19
週間SPA

ただでさえ「会社組織・秩序」が大混乱のさなか
エイリアン「俺様節」の若手が大増殖

忍び寄る「会社崩壊」の危機


学級崩壊より深刻

  「週間SPA」 から、若い人向けの「組織の話」について取材がありました。5月19日号に上記のようなタイトルの記事が掲載されましたので、骨子を紹介します。

  中学校や高校で、協調性も主体性もない、何事にも無反応で、我慢できない生徒たちによって、学級崩壊という現象が起きているが、会社組織にも、新人類と呼ばれる「
SPA世代」にすらエイリアンに見える新入社員が見られるようになってきた。
 
 彼らの出現で「挨拶、服装、片付け等社会人としての常識が崩壊。会社は仕事をする場所という 基本が崩壊。業績に響く顧客への対応、接待が崩壊。気遣いも配慮もナシ、社内の人間関係が崩壊」という学級崩壊より深刻な会社崩壊の兆しが見えるという。

 「会社組織は、彼らを締め出すことも、再教育することもできないでいる」。私は女性編集担当の方から、いきなり「これは会社組織の崩壊の危機ではないですか」という過激なインタ−ビユ−を受けることになりました。
  どんな結論の記事になるのか、私も少々心配でしたが、立正大の斉藤勇さんと小生のインタ−ビユ−をもとに、「厳しい経済環境の中、従来の会社組織を維持するのは不可能に近い。構造転換が必然の流れだとすれば、起爆剤となるのはエイリアン若手社員だ」と結んでいます。


最高の叡知を備えたエリアン若手社員

 斉藤さんは「SPA世代ですら、若手社員の常識はずれな言動にいらつきを覚えながら、実は彼らの奔放さが羨ましいのである。
 
エリアン若手社員の好き勝手な振る舞いは、何年たっても変わることはないだろう。彼らは(従来型の)組織に服従しても利益がないことを知っているからだ」と答えています。 
 
 そこで、「若手社員は変わらない。それでは、そんな彼らが続々会社に入り込んでくれば、会社は崩壊することになるのですか」と厳しく問いかけられました。
 私は、次のように答えました。
 第一変曲点を迎えた日本経済は、新たな成長路線を探る必要がある。年功序列、終身雇用、企業内組合を柱にした従来の日本型組織では、もはや成長を続けることはできなくなった。つまり、和や協調、均一性を重んじる従来の一本道路線では通用しなくなったということです。
 組織が(外部環境の変化に対応して)質的な路線転換を図る時期にきているという意味で、日本の会社は組織崩壊しつつあると言えるでしょう。
 
  企業は能力主義、成果主義等の導入によって、従来の人事制度を必死になってつくりかえようとしていますが、しかし、これらの路線は、結局は従来の一本道路線を効率化し、さらに徹底する方向のものでしかないように思われます。
 企業は協調や均質性よりも能力や個性を求めると言いながら、
方法論に裏付けされた新しい会社組織のあり方が見いだされない限り、当面の延命のために、従来路線に役立たない人間を切り捨てるだけの結果になっているのではないだろうか。
 
  会社にしがみつくよりも個性を貫くことを良しとするエリアン若手社員の登場は、現在の日本型組織社会にあっては、むしろ極めて健全な兆候です。
 編集者は最後のまとめとして、「新しい形態の会社組織が、円滑に回るかどうかは、彼らが周りに迷惑をかけずに、会社は利益を上げる集団だと自覚するかどうかにかかっている」と結んでいます。
 ここではむしろ「
彼らエリアン若手社員を戦力化できる組織をつくることができるかどうかという問題の方が先だ」ということではないだろうか。
  そして、少々我田引水的ですが、それは例えば「M−5型組織的問題解技法」のような方法論を使いこなすことができる組織をどうつくるかにかかっているという問題です。
 
 ところで最後に、編集者は「エリアン若手社員に、そうした組織への対応力はあるでしょうか」と心配されていました。
 私は誤解を恐れずに言えば、「彼らの意識構造、行動様式を見るとき、彼らはかつてない最高の叡知を備えていると思われる」、それ故に、また希望的観測も含めて、「彼らは組織転換の起爆剤となるだけでなく、そうした新しい組織運営の役割をいとも簡単に果たすことができる力を持っているのではないか」と考えています。  


back