私達の多くは、企業や官庁等の組織に所属して生計を立てている。そこで、どんな上司や同僚や部下と、どのような人間関係や雰囲気の中で働くかは、どんな仕事に従事し、どれだけ業績に貢献できたか以上に、生きがいや働きがいに深く関わる問題でした。
しかし、「組織における働きがいや生きがい」の問題は、平成不況が長期化し、深刻化する中で、根底的な変容を迫られている。経営者や人事部門にとっては、総人件費抑制の視点から「実力主義・成果主義」といった「人事処遇施策」や「中高年層の再教育・再配置」といった「リストラ施策」が大きな関心事になっている。
日本経済の不況問題が、これから先どのように進展し、どんな形で落ち着くことになるのか。その展望如何によっては、経営における人材や組織に対する考え方や施策も、自ずと大きく変わったものになっていくに違いない。
日本経済は、1960年以降実質国内総生産において10%台の高度成長を遂げ、74年にはオイルショックで一時的にマイナスを経験したが、その後は90年まで4%台の中成長が続いた。
しかし、90年以降は、円高、バブルの発生と崩壊、資産デフレ、巨額な不良債権の発生、メガコンペティション、リストラ、一般消費の低迷、銀行の貸し渋りと事態が深刻化する中で、1%を切る低成長期に入り、97年、98年には2年連続してマイナス成長を記録している。
「売り上げが下がる
→ 価格競争が激化する → それでも売り上げは伸びない →
生産を落とす → 設備投資を控える → 賃金抑制、雇用削減が続く
→ 一般消費が一層低迷する・・・」
このデフレスパイラル的悪循環は、既に身近な会社生活や消費生活の中で実感できる。日本の従来型産業は、建設、金融、流通、鉄鋼、電機、自動車、化学・・・・・・・・とあらゆる業界で、既に60兆円以上の供給過剰状態にあるとも言われている。
これまで永遠だと思われてきた成長路線はひとまず終焉し、下降線をたどり始めたという意味で、日本経済は1996年をもって「第一の変曲点」を迎えたということができる。
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