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 BMM No.133
  2013.6.25発行
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双葉町復興まちづくり委員会
復興まちづくり計画第一次案まとまる
2つの視点からのコメント

これまで、双葉町復興委員会のメンバーの皆さんと「7000人の復興会議」での膨大な「町民の声」のデータベース化、「5つの基本課題」の設定を中心に、情報交換をしてきました。あらためて、4月24日の復興委員で承認された「復興まちづくり計画(第一次)案」に目を通す機会がありました。「町民による復興まちづくり」に向けて、町として本格的なプロジェクトマネジメントを目ざす姿勢がうかがわる点、期待大です。あらためて、次の2つの視点からコメントを整理しました

本計画は
@復興まちづくりの基本施策として位置づけられるものであり、町長への具申、議会での承認に耐えら
  れる内容、レベルでなければならない。
A復興町づくりに向けて、町民の思いや覚悟、提案に応えて「町は何をどうしてくれるのか」が簡潔明瞭
  に表現され、それぞれの考え方、立場にある町民にとって、将来に安心と希望を抱かせるものであっ
 てほしい

計画の位置づけ
「町民の生活再建と町を取り戻すための方向性とこの4年間に取組むべき基本的施策を明確にした復興まちづくり計画」を策定するという目的を踏まえ、本計画は最終的に町長に具申し、議会の承認を得なければならない。

その後の取組み状況、第一原発の廃炉措置、中間貯蔵問題等の状況変化とともに、随時見直しが行われ、補強され、町の執行部体制が変わったとしても、普遍的な復興まちづくりのベースとして位置づけられる内容、レベルを目ざすものであってほしい。

基本理念、基本方針の確認
「町民一人ひとりの復興と町の復興をめざして」というキャッチフレーズのもと、町民の生活再建への決意のもとに、町民の心を一つにして、町の再興をめざす。最終ゴールは「ふるさと双葉町への帰還と町の再興」である。

こうした理念のもと、「復興まちづくり計画」の作成とその取組みにあたっては、町民の多様な立場・考え方を理解しあい、町民一人ひとりの選択を尊重し、行政と町民が協働して町の総力を結集するとしている点、さらに被災自治体に共通した課題については、関連自治体と一致協力して取組むとしている点、いずれも町民に安心と希望を抱かせるものである。

国まかせでない、
町主導の帰還、再興への道筋づくりを!
復興まちづくりの最終ゴールは「町への帰還と町の再興」であり、除染と廃炉措置の安全等に関して、国と東電に帰還の判断を行う上で不確定な要素の解決を求め、4年後に安全見通しの情報をもとに判断するとしています。

ここでは、帰還を希望する町民(38.7%)に応えるという町の強い意志を持って、この4年間で町への帰還と町の復興につながる不可欠なステップとして、「町の低線量地域に町民の絆を維持し、町の荒廃を防ぎ、復旧・復興への道を探るための活動拠点(仮の町、公的復興住宅)をつくる」ことの可能性を追求するという、具体的な目標を導入してほしい。

■町としての帰還目標の考え方の明確化

帰還までの道のりは長いが、先ずは「低線量地域に復興拠点をつくる」という目標に向けて、「福島復興再生基本方針」で定める「国が着実に実行すべき施策」について、町として具体的な注文を出すとともに、4年間の国の取組みはどうであったかを踏まえ、国と対等以上の立場で区域の再編、避難指示の解除時期を協議できることを目ざしてほしい。

■町としての取組み課題の明確化
町の再興には除染が不可欠である。町として国と除染について対等に協議できるだけの取組みをしていかなければならない。除染問題について、内外から人材を集め、次のような課題に対する取組み体制をつくってほしい。

@町内の徹底した放射線量モニタリング
A町としての区域再編計画案の作成
B町としての区域別除染目標案の作成
C低線量地域への公的復興住宅等の活動拠点づくり案の作成

■町としての国に実行を迫るべき事項の明確化
@町の区域再編案、除染目標案に対応したモニタリングシステムの再整備
A町の区域再編計画案、除染目標案に向けた責任ある除染への取組み
B第一原発の安全な廃炉措置
C中間貯蔵問題の被災自治体が納得のいく解決


町民一人ひとりの
自立と生活再建あっての双葉町

■2つの前提課題
町の放射線量のモニタリング結果からも、帰還見通しがたたない現状を踏まえ、「町民の避難生活からの脱出」、「賠償問題への決着」を前提とした「自立と生活再建への道筋づくり」を急がなければならない。

前提課題1
避難生活のフオロー

限界状態にある仮設や借上げ住宅での避難生活からの脱出なくして町民の自立・生活再建はない。フォローは仮設や借上げ住宅での避難生活の長期化を容認するものであってはならない。
@避難生活をする町民の健康管理、心のケア体制をつくる。
A仮設・借上げ住宅の住環境、コミュニティ環境を改善する。    

前提課題2
損害賠償の支援

賠償は失ったもの、奪われたものを取り返すことであり、町民が自立し、生活再建するために、経済的な面に加えて、気持ちの上でけじめをつけるためにも 重大な前提課題である。

@国・東電に対する正当な賠償額の迅速・確実な支払いを要求する。
A町民一人ひとりに対して、きめ細かい賠償要求の支援施策を実施する。


町民の自立・生活再建への道筋づくり
町民の多様な立場・考え方を理解し、町民一人ひとりの選択を尊重した「自立と生活再建への道筋づくり」に向けて、行政と町民が一体となって取組む体制をつくってほしい。

道筋1
「仮の町」(双葉町外拠点)の整備による
コミュニティの維持と町民の自立・生活再建の支援

「町への帰還と町の再興」を目ざすという視点から、町民が落着いて安心して暮らせる住まいの確保、生活再建、町の復興に向けたミュニティの維持の中核となる「仮の町」の整備は急ぐべき課題である。

@候補地の調査、交渉から具体的な住環境の整備等を町主導で行うための、内外から人材を集め調査
  プロジェクトを早く立ち上げほしい。
A双葉町復興まちづくり委員会の生活再建部会、ふるさと再生部会、きずな部会において検討された施
 策は、一般論で終わるのではなく、「仮の町」を中核とした内外の町民のためのコミュニティづくりに反
  映させるようにしてほしい。 

道筋2
町に決別し、それぞれの地で生活再建を希望する町民への支援

長期間、もとの町に戻れる保証がない限り、双葉町へは戻らない、「仮の町」へ移り住みたいと思わないという町民の「町を離れ、別地で暮らす自由・権利」を認め、希望する地で生活再建(日常の暮らしを取り戻す)ができるよう支援する。

@双葉町民のまま希望する自治体で生活をする町民に対して、住まい、就業、医療、福祉、教育等の行
  政・生活サービスが得られるよう支援する。
A町民が希望する自治体への移住手続き、住民登録の手続きを妨げない。
B国に対して、町民が町を離れて生活する場合、「住まい」の補償を働きかける。
C国・東電に対して、町を離れて自立・生活再建を図ろうとする元町民に対して、融資制度、仮払い制度
 等の設立、運用を働きかける。

道筋3
町主導の帰還、再興に向けた、低線量地域への拠点づくり
町に戻りたい、町を復興させたいとい町民が主体となって、町の低線量地域に町民の絆を維持し、町の荒廃を防ぎ、復旧・復興への道を探るための活動拠点(仮の町、公的復興住宅)をつくることについて、希望者が集まり、内外の人材からの支援を得て、次のような課題の検討に参加できる体制をつくってほしい。

@町内の放射線量モニタリング拠点の追加提案
A町としての区域再編計画案の作成
B町としての区域別除染目標案の作成
C低線量地域への公的復興住宅等の活動拠点づくり案の作成
D国の除染施策への注文、実施結果の確認、評価


計画の推進体制

双葉町復興まちづくり計画第一次案では、最後の章で、「町民の復興まちづくりへの参画」のために、次のような推進体制をつくり、町として本格的なプロジェクトマネジメントを目ざすとしている点、期待するところ大です。

@町民の勉強会の支援や人材育成をおこなう。
A町民を支援する学識経験者や専門家のネットワークをつくる。
B国、県に計画の推進のために必要な財政・人材の支援措置を求める。
C役場に計画の推進組織を立上げる。
D計画の進捗管理や見直しを行う委員会組織をつくる。

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    BMM【Belhyud Mail Media】 NV No.133
2013.6.25発行
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  【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
【編 集】 井 上   仁  

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