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 BMM No.135
  2013.6.24発行
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双葉町復興基本施策の条例化を!」
福島復興再生基本方針との関連の視点から

福島の復興再生
国が責任をもって取組むとする法的裏づけの確認を!

「双葉町復興まちづくり計画(第一次最終案)」をもとに、町としての当面の「復興基本施策」を検討するにあたって、国の責任の問題を確認しておきたいと思います。

福島第一原発災害について、国はこれまで原子力政策を推進してきた社会的責任を認め、「福島復興再生特別措置法(平成24年3月31日)」、「福島復興再生基本方針(平成24年7月13日)」を定め、「国が着実に実施すべき施策」を明確にするとともに、「避難解除等区域復興再生計画」を作成し、法律的根拠をもって、被災者の生活再建、被災自治体の復興・再生に取組むとしています。

国と妥協するつもりはありませんが、国の力なくしては先に進めません。関連法律の内容を確認し、双葉町が被災自治体と連携し、町主導の「再生・復興基本施策」をもって、国と対等以上の立場で協議できるよう支援していきたいと思います。

福島復興再生特別措置法

国は、特別措置法の冒頭で「原子力政策を推進してきた社会的責任を負い、原子力災害からの福島の復興及び再生に関する施策を国政の最重要課題として、継続的かつ迅速に推進する」としています。さらに、国の「福島の再生なくして日本の再生なし」という考えの下、福島県の復興計画にも「相双地方の復興なくして、ふくしまの復興、日本の復興はありえない」とあります。

国も、「双葉郡を中心とする被災地域、被災住民の復興再生なくして、取組みは終わらない」として、「住民が誇りと自信を持てるふるさとを取り戻すことができるまで、その責務を真摯に、国の威信をかけてあらゆる知恵と力を結集し、総力で実行していくために、『福島復興再生基本方針』を定める」としています。

福島復興再生基本方針

先の特別措置法で、「内閣総理大臣が福島県知事の意見を聴いて、『福島復興再生基本方針』を定め、閣議決定をしなければならない」、さらに、「福島県知事は、その意見を述べるにあたって、関係市町村長の意見を聴かなければならない」としています。

「避難を余儀なくされた被災者は、家族の分断、孤立による精神的苦痛や避難生活に伴う経済的負担を抱え、さらに、事故発生当時の放射線被ばくによる健康への影響はないだろうか、ふるさとへいつ帰還できるのだろうか、帰還した際の放射線被ばくの心配はないのだろうか、帰還しても働く場はあるのだろうか、あるいは生活していけるのだろうか、といった様々な不安を抱えながら生活している」。

「福島復興再生基本方針」では、こうした認識の下、避難が続く地域の住民一人一人が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるよう、除染、賠償、住民の健康と安全の確保、インフラ整備、雇用、産業振興等の、「国が着実に実行すべき施策」を盛り込んだ『避難解除等区域復興再生計画』を作成する」としています。

避難解除等区域復興再生計画

「避難解除等区域復興再生計画」は、内閣総理大臣が、福島県知事の申出に基づいて作成します。当計画を作成するにあたっては、「避難解除等区域の復興及び再生を推進するために、被災自治体の創意工夫、自主性を尊重し、住民の意向を十分に反映した『避難解除等区域復興再生計画』を策定する」とあります。

さらに、国が当計画の中で短期、中期、長期にわたって「着実に実行すべき施策」を明確にするとともに、「被災自治体に必要な人的措置と財源確保につとめ、福島を支える全ての国民の理解とともに地域の納得が真に得られるよう、責任を持って取り組む」とあります。


あらためて求められる
被災自治体主導の復興計画の策定



これまでに、帰還困難区域、居住制限区域になっている双葉町や浪江町の皆さんの声をもとに、被災者の自立・生活再建、被災自治体の復興・再生に向けて、国任せにしないで、主体的に立ち向かうべき「2つの前提課題」と「3つの道筋づくり」からなる「5つの基本課題」を明確にしました。双葉町では、これらの町民の声としての基本課題をもとに、「復興まちづくり計画(第一次案)」がまとめられています。

「福島復興再生基本方針」にあっては、帰還困難区域、居住制限区域における「避難民のケア」、「損害の賠償」、「仮の町づくり」、「除染」、「住まいの補償」といった問題に、政府が速やかに対応するとしていますが、「地域の自主性・創意工夫の活用」、「住民の意向の十分な反映」が必要であるとしています。

安倍政権は、3月7日に復興推進会議と原子力災害対策本部の合同会合を開き、「早期帰還・定住プラン」を決めました。

プランでは早期帰還を目指す「避難指示解除準備区域」を念頭に、1〜2年で住民が帰還し、定住できるようにするための国の取り組みを定めるとしています。しかし、ここでも、自治体に、今年夏をめどに帰還に向けた具体的な工程表の策定を求めるとしています。

国はこうした趣旨から、「原子力災害からの福島復興再生協議会」、「双葉地方町村と国との意見交換会」等、被災自治体との協議の場、意見交換の場を設置しています。被災自治体が手ぶらではなく、自前の「復興計画」をもって、厳しい姿勢で臨んでほしいと思います。(13.6.20)

現実に、原発災害復興施策は遅れに遅れています。被災自治体と被災者は結束して、町民の自立と生活再建、町の復興・再生に向けて、自前の全体計画を持って、政治を動かし、国に実行を迫って行かなければなりません。
被災者の皆さんも、「被災自治体が結束して、永田町に座り込むくらいの覚悟で政治を動かさなくてはならない」と声を上げています。政治も国も本気になって、「被災者の、被災者による、被災者のための復興・再生」を本気でリードし、後押ししてほしいと思います。(4.5)

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  【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
【編 集】 井 上   仁  

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