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 BMM【Belhyud Mail Media】NV No.102

  2010.3.30発行
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中国進出企業における
「日本版6シグマ」

1「中国ビジネスマネジメントモデル」づくりへの挑戦
日本国内では、「日本の経験は中国では通用しない。中国ビジネスは難しい、成功よりも失敗が多い」といった意見が一般的である。しかし、今日における中国の世界の工場としての位置づけは、世界の市場としての規模の大きさとともに、企業活動のグローバル化の中でますます確固たるものになっている。
世界の企業にとって、「中国リスクを充分承知しながらも、中国での事業展開を重視し、継続的に投資していく、行かざるを得ない」というのが本当のところであろう。また、このことはとりもなおさず、中国ビジネスの経営成功モデルの追求が世界企業に共通した課題になっているということでもあろう。

ここで紹介するエレクトロニクス製品メーカー「A社」は、ベンチャー企業を脱し、本格的に事業を展開するに当たって、日本に管理部門を残すのみで、これまで国内外に分散していた生産、技術、開発、販売のすべての拠点を上海に集積し、まさに経営の将来のすべてを中国に委ねた状況にある。
「A社」は中国上海を経営拠点として、世界の市場、顧客からの要求に応じて、一定の品質と数量の製品を生産・販売し、目標とする利益を上げ続けることができる「経営体制づくり」にチャレンジしようとしている。

この「経営戦略」は、「製品開発戦略」→「技術研究・開発」→「製品設計・試作」→「材料・部品調達」→「部品・製品生産」→「販売」という一連のビジネスオペレーションサイクルのすべてを中国人社員を中心として展開するとともに、その結果として目標利益を確実に実現できるための「課題」を一つずつ明確にし、確実に解決することによって、「中国ビジネスマネジメントモデル」をつくり上げていこうとする挑戦でもある。

2「部品から製品」までの一貫大量生産戦略がベース
「A社」は主に通信機器分野におけるエレクトロニクス製品「Mシリーズ」の開発、製造、販売を行う東証マザーズ上場のハイテク、ベンチャー企業である。「Mシリーズ」は、「3つの事業分野」に分類できるが、パソコンや通信機器の小型化、薄型化の流れの中で、いづれの分野においても独自の「超小型化、超薄型化技術」が評価され、ここ10年で世界の「スマートフォオン市場」を中心にトップシェアの位置を占めるまでに成長してきた。しかし、低価格化競争が進む中で、開発から生産、販売まで、生産管理を中心に本質的に解決を図らなければならない経営課題は山積している。

「A社」の特徴は、前身が数人のメンバーでスタートした研究中心の企業であったが、この10年間に生産から技術、開発、販売のすべての拠点を上海に集約し、かつ生産においては、製品組立のみならず「成形、プレス部品」を中心に必要なほぼすべての部品の金型製造、生産まで、外部に頼らず、完全内成化を目指していることである。
それは、当製品分野では避けられない量的拡大にともなう「低価格化競争」に勝ち残っていくために決断した「生産管理戦略」であった。

中国の低人件費によるコスト競争は、既に限界に近づいている。A社は、「部品から製品まで一貫大量生産によるスケールメリットを最大限活かすことによって、コスト競争力をつけ、勝ち残る」という目的で、それまで国内外の各地にあった組立や部品供給会社を集積し、多岐にわたる製品組立、部品製造技術を自社化するという「生産管理戦略」に挑戦することにしたのである。

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    BMM【Belhyud Mail Media】 NV No.102
2010.3.30発行
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    【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
【編 集】 井 上  仁

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