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 BMM【Belhyud Mail Media】NV No.112

  2010.5.25発行
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中国ビジネスにおける
日本版6シグマ

13 「棚卸報告会」によるフォロー

約1年の時間をかけて、「棚卸集計表」をベースにした、「中国人社員の、中国人社員のための、中国人社員による生産管理システム」が一応出来上がった。しかし、実際の運用で成果をだすというところまでには至っていない。「棚卸データ」を「棚卸集計表」に入力するだけで精いっぱいというのが現状である。
先に見たように、「棚卸データ」を活用して、中国人社員の「生産管理力」を上げる狙いは、次の2つである。
@PL上の収益改善に向けて、「部品の材料コスト」、「製品の部品コスト」を把握し、製品組立
  部門の要請に応じて絞り込んだ内製部品のコストダウンをはかる。
A「在庫」の把握と「受注見通し」を踏まえ、「部品・製品の生産・在庫計画」、「基本材料・外注
  部品の発注・在庫計画」を作成し、「在庫」を圧縮する.

現実的な成果を出せるところまで行くには、実践的な練習と指導の積み重ねが必要である。そこで、「棚卸データ」の「棚卸集計表」への入力が終わった時点で、「棚卸報告会」の開催を定例化することにした。「棚卸報告会」は、製品組立部門、部品内製部門別に開催し、「BS上の在庫圧縮」、「PL上の収益改善」を目的として、次のような手順でフォローを行っている。

PL上の収益改善
最大のフォロー課題は、製品組立部門の「棚卸集計表」から、製品の毎月の「部品コスト実績」を把握し、特に重点組立製品に絞って、タイムリーに「部品コスト」の削減対策を打つことである。「棚卸データ」から部品コスト削減対策を打つまでの「フォロー手順」は、次のとおりである。

第一ステップ
@「製品棚卸集計表」から、当月の「トータル部品投入高」を計算する。
A当月一ヵ月間のトータル「組立製品生産数量」をもとに、組立製品1台あたりの「部品コスト」
  を計算する。
B「重点製品」については、機種別に「トータル部品投入高」、「部品コスト」を計算する。

第二ステップ
@収益改善のための「重点製品」を絞り込む。
A「重点製品」を構成す「る重点部品」を絞り込む。
B部品部門の「棚卸集計表」から「重点部品」の材料コストを把握し、コストダウン目標を明確に
  する。

第三ステップ
@部品部門と重点部品の材料コストダウン対策をすり合わせる。
A上記@の成果を、次月の部品部門の「棚卸データ」で確認する。

BS上の在庫圧縮
先ず、製品組立部門に絞っての最大のフォロー課題は、製品組立部門の「棚卸集計表」から、月単位で「生産数量」、「販売数量」、「在庫数量」を把握し、そのバランスを最適化することである。「棚卸データ」から、「生産・販売・在庫」のバランスを最適化するための「フォロー手順」は、次のとおりである。

第一ステップ
@「製品棚卸集計表」をもとに、機種別、倉庫別に先月末「在庫高」を確認する。
A当月一ヵ月間の機種別「販売出庫計画」を作成する。
B倉庫別に、次月の販売出庫見通しをもとに、当月末確保しておくべき「在庫高」を決める。
C上記3つの数字を確認した後、A+B−@の式より、当月の「機種別生産数量」を計算する。
第二ステップ
@当月の「機種別組立生産数量」をもとに、前月の歩留をもとに「必要部品投入量」を計算する。A必要部品の先月末「在庫高」を確認し、当月末確保しておくべき最適ミニマム「在庫高」を決
  める。
B必要部品別に、当月の部品部門からの「購入・入庫計画」を作成する。

第三ステップ
@部品部門の「棚卸集計表」から、部品別に前月末「在庫高」を確認する。
A製品組立部門からの部品別「購入・入庫計画」を確認する。
B次月の製品部門の部品別「購入・入庫見通し」をもとに、当月末の最適ミニマム「在庫高」を
  決める。
C上記3つの数字を確認した後、A+B−@の式より、当月の「部品別生産数量」を計算する。
第四ステップ
@当月の「部品別生産数量」をもとに、前月の「歩留」をもとに「必要材料投入量」を計算する。
A必要材料の先月末「在庫高」を確認し、当月末確保しておくべき最適ミニマム「在庫高」を決
  める。
B必要材料の当月の「購入・入庫計画」を作成する。

ここでの重要なポイントは、次のとおりである。
「組立製品販売出庫計画」は、営業部門が責任を持って作成する。大幅な変更があれば早めに変更数字を入力する。また月末の倉庫別「在庫」は、次月の販売見通し、組立生産部門の生産能力をもとに、「最適ミニマム在庫高」を決定する。
大事なことは、営業部門と生産組立部門が連携し、責任を持って、先ずAとBの数字を決定するということである。自動的に機種別に必要な組立生産数量が計算され、また組立生産数量から必要部品の「購入・入庫計画」も同じように計算され、結果的に「在庫高」は計画通りの数字になるはずなのである。

これまでの「在庫増」の理由
しかし、これまでは在庫増大の傾向が続いてきている。「棚卸報告会」では、これまでの組立製品や部品、材料のの在庫が増大してきた理由を明確にし、中国人社員に理解してもらうことに注力した。
その理由は、次のとおりである。
@機種別在庫の把握が不十分であった。
A機種別販売見通しの精度が低く、見通し変更も的確になされていなかった。
B次月の販売見通しをもとに、最適ミニマムの在庫を持つという考えがなかった。
C「在庫」は結果的に決まるもので、事前に最適ミニマムに決めるという考えがなかった。
D生産管理部門が前月までの生産・販売実績をもとに、生産数量を経験的に決めてきた。
E結果的に、月単位で見れば必要以上に生産を行ってきた。
                

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                 BMM【Belhyud Mail Media】 NV No.112
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                  【WEB】 http://www.belhyud.com/0.htm
                  【MAIL】 jin-inoue@belhyud.com
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                     【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
                      【編 集】 井 上  仁


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