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質問・感想
「これまではデータを分析しても、アクションにつながらなかった」
■現場で発生しているトラブルに関して、データ収集や整理に相当時間を使ってきた。しかし、データを表にしたりグラフ化したりしても、その結果を問題解決のためのアクションに繋げていなければ意味が無いという事が良く分かった。現状では、そういう状況になっていないことが多いと反省した。

「情報のデータ化や行動課題のコンセプト化の難しさを痛感」
6シグマの「DMAIC」に相当する日本型6シグマの「W型フロー」については理解できました。「現状把握ラウンド」で問題点を共有化した後、「課題設定ラウンド」でKJ法的な情報処理方法をもとに「やるべき事」を整理し、自分たちの言葉でコンセプト化する仕方が、今までの進め方と違っていて有効であると思った。
ただ、「やるべき事」を決定する際、具体策のラベル化、表札化、空間配置等、文章や図解で丁寧に情報処理するプロセスが大変難しいということを実感した。実習の繰り返しをしつこくやるのが一番と思いました。また、論理的にラウンド毎にきちんと判断をして行くと結論を導くことが出来るので、何にでも活用出来ると思った。

「現状把握や行動課題の設定に抜けや漏れがないか非常に心配」
■品質向上のための課題を設定するために、当面の具体的課題つまり「具体策」をデータ化するラウンドは「アバウトで良い」でいうことでしたが、抜けや漏れがないか非常に心配です。

「抜けや漏れの発生を気にする人が多いが」
■議論の進め方として、まずグループで意見を出し合い、最後に各グループの検討結果を持ち寄って、全体でまとめるという方法をとられていましたが、この方法はテーマに対して抜けの少ない現状把握、課題設定ができるのではないかと感じました。
6シグマプロジェクトを進める中でも、参加メンバーは『抜け』や『漏れ』が発生してしまうことをよく気にしてますので、今回の研修のように、まず小数グループで行い最後にまとめる方法も効果があるのではないかと思います。  




回答
■日本版6シグマでは、プロジェクトへの取り組みにあたり、これまでの表面的でモグラたたき的で、その場しのぎ的な対応の繰り返しから脱却するために、「なぜこのプロジェクトチームが生まれたのか」、「何が問題で、何が課題なのか」、「何をどのように解決したらいいのか」という一連の問題解決的取り組みののプロセスを「W型問題解決フロー」として体系化しました。
このフローは、GE版6シグマの「DMAIC手法」に相当するものですが、このフローに沿って問題解決を図るということは、皆さんが持っている情報や知識やアイデアを前提にするということであり、同時にフローに沿って進むことで、皆さんのプロジェクトに対する問題意識や情報収集力やアイデア創出力を飛躍的にレベルアップさせることをねらっています。


回答
■これまでに「組立製品の品質向上」という事例テーマで、次の「4つのラウンド」を体験しました。

 @皆さんが、製品の品質保証問題の現状をどのように認識しているかを確認した。
   (問題意識ラウンド)
 A不良発生状況とその原因を把握する上で、あらためて顧客は製造部門に何を期
   待しているのか、つまり顧客ニース「VOC」を反省を込めて認識し直した。(現状把
   握ラウンド−その1)
 B上記@、Aの認識を踏まえ、設計、部品、組立、出荷検査の各工程上の問題点
   を切り口にアプローチすることとし、工程別に具体的な不良発生事例を収集し、
   基本的問題点をコンセプト化し、品質不良をもたらしている内部要因「CTQ」の全
   体像を明確にした。(現状把握ラウンド−その2)
 C上記Bの認識を踏まえ、各工程上の問題点を解決するためには、どのような具体
   的アクションが必要かをデータ化し、基本的課題をコンセプト化し、その全体像を
   明確にした。(基本的課題設定ラウンド)

■組立製造部門として、品質保証の上で「どのような部分が弱いのか、その理由はどこからきているのか」を大きく捉え、そのフレームを根本的に強化するアプローチが大切です。そのためには、個々のトラブルをバラバラに把握し、個々に対応するのではなく、組立製造部門あるいは当該製品として抱えている固有の問題を把握します。
アバウトな把握の仕方に心配があるということですが、ここまでのフローで、特に「アバウトでいい」部分は、各ラウンドのデータの数や質の部分だけです。これらのデータをもとに、「VOCやCTQ」の本質的意味や基本的課題「SSP」をコンセプト化し、絞り込んだり、決定したっりするプロセスでは、非常に厳密な情報処理力、特に「情報のデータ化、グルーピング、表札づくり、空間配置」等の力が求められます。
さらに、基本課題別に最適解決策を作成する「最適案作成ラウンド」では、これまでのアバウトさを補う必要があり、具体策のデータ数、質双方の面で徹底した吟味が必要になります。
また、次の実行マスタープラン作成ラウンドでは、プロジェクトのおかれた環境をよく踏まえて、実行すべき「S・SSP」の評価、選択、全体の実行役割分担体制、実施スケジュール等について、充分現実的で、責任の持てる内容にしなければなりません。

回答
■日本版6シグマでは、問題解決に向けての思考の仕方、つまり情報の収集の仕方やデータ化、アイデアやヤル気の結集の仕方等がどれだけ論理的で効率的であるかが問われます。「W型問題解決フロー」に添って、各ラウンドにふさわしい思考方法をとることを「Critical Thinking」と言います。ラウンドを意識しながら練習する、これがもっとも大事です。さっと行かないのは、こうした思考回路をこれまであまり使わなかったからです。練習するというは、こうした思考回路に電流を意識的に通して、その流れがスムーズになるようにしていくことです。

回答
■「抜け」や「漏れ」を心配するというのは、結局は「日本版6シグマ」という問題解決的アプローチ方法に対する批判的立場からの意見ではないかと思うくらい多くあります。「日本版6シグマ」の不完全さを問題にして、結局、問題解決の当事者の立場から何とか抜け出したいという意識の現れではないかと思いたくなります。もちろん、方法論の完璧性は追求していきますが、本来、「抜け」や「漏れ」は、それなりの検討結果が出てはじめてわかるものです。わかった時点で「抜け」や「漏れ」は、それなりに補えばそれで済むことです。

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