現状把握ラウンドA

@住民の「関心事」を掘り下げる。
→生の声から、住民の思いや要望の本質をつかむ。
現在の避難生活の中では、住民の個々の要望に対して、町の行政が中心になって臨機応変の手が打たれてきています。しかし、今後の避難生活の安定化や自立化、町の復興計画の全体を考えて行くために、別枠でのじっくりした取り組みも必要です。
先のラウンドでデータ化した住民の「関心事」は、バラバラのたくさんの情報の集まりです。復興プロジェクト支援グループとしては、これらの「関心事」に個別に対応していくことを考えているわけではありません。このラウンドでは、「関心事」の情報全体を使って、住民の思いや要望の全体を本質的にとらまえることをねらいにしています。
ここでは、「KJ法」という、アナログ情報処理技法を活用しようと思っています。この段階では住民の生のたくさんの思いや要望がバラバラにあるだけです。普通は、これらの「関心事」からより重要な「関心事」を絞り込み、対策を考え、実行していくということになります。
しかし、ここではあえて先を急がず、個々の「関心事」の重みを評価せず、すべてを平等に扱います。住民の何十、何百という「関心事」をじっくり読み込み、全体としてはどんな思いや要望がベースになっているのかをプロジェクト参加の有志の皆さんと一緒に探ります。具体的には、「関心事」の「グルーピング」と「表札づくり」の繰り返しによって、住民の思いや要望を6つとか7つのかたまりに煮詰めていきます。
このたくさんのデータを6つとか7つのかたまりに煮詰めるというアナログ情報処理技法は少し面倒ですが、支援グループが責任を持ってバックアップします。

A住民の本質的な思いや要望の全体をつかむ。
→住民誰でもが目で見てわかる図解にまとめてみる
最近、各地の避難先の集会や国や東京電力に対する陳情の様子がTVでよく紹介されています。個々の住民が行政に対して不満をぶつけたり、あるいは要望や希望を一方的に述べたりしている場面が多いようです。これらの集会や陳情をより建設的なものにするためにも、現時点での住民の避難生活や町の復興に対する本質的な思いや要望の全体を一枚の「図解」にまとめてみることをお勧めします。
何十、何百とあった「関心事」を「グルーピング」と「表札づくり」の繰り返しによって、住民の本質的な思いや要望として6つとか7つのかたまりに煮詰める。その上で、その全体を論理的で整然とした、目で見てわかる「インデックス図解」に仕上げます。
図解にしてみることで、避難生活の安定化や自立化、町の復興のための課題の全体や手順が見えてきます。また、住民個々人の思いや要望は全体の中でどのような位置づけにあるかもはっきりしてきます。町や県、国に要望すること、住民個々人の責任で取り組まなければならないこともはっきりしてきます。結局は、避難生活の安定化、自立化、町の復興計画も、住民の本質的な思いや要望がベースにした住民主体のものであるべきです。そのためには、先ず住民が自分たちの思いや要望の本質とその全体を掴み、共有化するということが出発点になると考えるわけです。

 
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