福島県双葉町
復興プロジェクトの立ち上げ

A避難生活の危機管理は住民の力で

双葉町の約1500人の住民の方が、埼玉県加須市の旧騎西高校に避難しています。双葉町で私の実家を一人で守っていた義姉が福島市内の知人宅にお世話になっていましたが、近所の人たちと一緒に生活したいということで、4月6日皆さんと合流し、25日ぶりの涙の再会を果たしました。義姉も一安心、柔道トレーニング場で一人一枚の畳の上ですが、その晩はぐっすり眠れたとの電話がありました。

避難地に足を運ぶと、人人でごった返していますが、町の職員やボランティアの方々が全国に散らばっている町民を迎え入れ、落ち着いてもらうよう献身的に仕事をしている様子がよくわかります。帰りしな、校庭に駐車した車に向かう途中、町の議員をしている中学時代の友人に、「今日から義姉が加須の避難先に世話になることになった」旨を伝えようと電話をしたところ、偶然にも目と鼻先でばったり会おうことができました。

彼とは10分くらいの立ち話でしたが、先日来話題にしている「住民を主体にした双葉町復興プロジェクト」を考えるために、もう少し落ち着きを取り戻したところで、彼に何人かの有志を集めてももらうことをあらためて確認しました。私としては、プロジェクトマネジメントの視点から、双葉町の住民が主体になったプロジェク活動を責任をもって支援していくことをあらためて約束しました。

福島原発危機を引き起こした地震、津波の規模は想定外であったとしても、報道で知る限りにおいて、東京電力の危機発生後の対応が整然としたものでないことは誰でもが認めることです。しかし、事故を終息させることについては、我々はただ遠くから見守るしかできません。地域の住民がふるさとに戻って生活ができるようになるのはいつかも、東京電力や国に100%依存するだけです。

避難地を訪れて避難生活の実態をみたり、知人や友人と話をしてみて思うことは、避難解除がずいぶん先のことになるとすれば、避難生活への支援の仕方を根本的に考えなければならないということです。今後、先の見えない避難生活がどのような危機を迎えることになるかは容易に想定できます。

町や県、国の施策に対する不満、批判が続出したり、あるいは逆に受け身的な避難生活に安住してしまうようになることが心配されます。こうした危機の到来は火をみるより明らかであるだけに、手をこまねいているのではなく、先手を打っていくべきです。

それは、住民自らの手で当面の避難生活や今後の町の復興について、その全体構想を話しあうことが出発点になると思います。先ずは住民が自力で全体構想を考える。その上で自前の全体構想を町や県、国、ボランティアの力を借りて補強してく。そして、各課題の実現に向けて、避難住民として町や県、国に要請すること、ボランティアの皆さんにお願いすること、住民が自らの責任でやっていくことをはっきりわけて取り組むという、住民主体の復興体制づくりを支援できればと考えています。

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