福島第一原発の危機管理

B原子力安全会議の結論の出し方について

福島原発事故に関連して、佐藤前福島県知事がインタービユーに、次のように答えています。
「原発に関しては、大臣や国会議員でもさして知る事ができない。電力事業社や官僚が集団的に決めている。エネルギー関連のある安全会議に参加した際、議論が安易ではないかと問題提起したが、『三回も真面目な議論をしているのに、いまさらなにか?』と避難されたことがあった」。
「こういった内容の討議については、ドイツでは15年掛けて会議してから結論を出した。フランスは20年掛けて結論を出してない。日本は、30人ほどの人間で、しかも、参加者の多数が身内である電力事業者や官僚である会議をたかだか3回行って、決めようとしている。国民的な議論にすべきではないか?」。

ここでは、原子力の安全の問題について、「15年、20年掛けて結論を出す、出さない」という会議の持ち方について考えてみたいとおもいます。
これは会議において、@安全に問題がないとする多数意見の危うさをどう論破するか、A危険であるとする少数意見をどう補強するかということにつきます。

現実の会議の運営では、多数意見によって少数意見が消されるのが普通です。
多数意見、少数意見の立場を超えて、「多数意見が安易に通らないように、全体で多数意見の危うさを時間をかけて徹底的にあきらかにする、少数意見が簡単に消されないように、全体で少数意見を弁護し、その正しさを時間をかけて徹底的にあきらかにする」という基本原則で会議が運営されなければならないと考えます。
今回の福島第一原発事故は、ことが重大であればある程、会議での結論の出し方が稚拙であることが、どれだけおおきいコストや機会損失につながるかを如実に物語っています。


back